デブよ、さらば!

daisysacky

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第10章 自分らしくありのままに!

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 空美は、こう思う・・・
自分の中のイジケタ部分・・・デブな部分も、残らず
全部、捨て去ってしまえたら・・・と。

目標体重まで、あと10㎏・・・
道のりは、まだまだ遠い。
それでも自分は、1人じゃないのだ、と強く思う・・・
もう、デブにはならない。
たとえ太っても、心の中まで、デブにはならない。
たとえ太ってても、心の中まで、あさましくはならない!
空美は、強く思った。
「デブよ、さらば」
口に出して、言ってみる。
そうすることで、力がみなぎる心地がした。

 この数か月間の努力も、いつかはかなう日が、
くるのだろうか・・・
空美はまだ、スタートラインに立ったばかりだ。
だが、様々な手段は、学んだつもりだ。
あとは、実行するのみ。

ショウちゃんは、ある日
「ごめんな」と言った。
「おまえが、そんなに悩んでいるなんて、
 知らなかったよ」
今は、その言葉だけでいい、と空美は強く思う。
きっとそのうち、舌の根が乾かぬうちに、ブツクサ
いうだろうけれど・・・
心の中まで、デブにならなければ、
いつかはきっと、願いはかなう、そう信じて。

 空美は、リビングの時計を見上げた。
そろそろ、スイミングの時間だ。
「さぁ、出かけるよ」
ミアに声をかけて、荷物を抱える。
「ねぇ、今日は ママも泳ぐの?」と聞くので、
「そうよ」と答える。
ミアがスイミングを習っている間、自分も初心者
コースで、泳ぐことに決めたのだ.
「いいんじゃない。自分も気晴らしになって」
サヤちゃんママと、2人で行くつもりだ。
1人ではできないことも、2人だと、なんとかなるものだ・・・と、この数か月間で、学んだつもりだ。
「じゃあ、サヤちゃんと、ミスド、行ってもいい?」
と聞くので、
「うーん、ママは、ダイエットだもんなぁ」
とつぶやいた。
たまにはいいんじゃない・・・なんて思いそうだけれど、今はまだその勇気がない。
「今日、がんばったらね、考えてあげる」
そう言うと・・・ミアの背中に手を触れた。

ようやく、戦いが始まる。
自分との戦いだ。
この戦いには、負けるわけにはいかない。
「ママ、行くよ!」
ミアの言葉に、あわててバッグを肩にかけると、鍵を持って、玄関へ向かった。


           おわり

 
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