デブよ、さらば!

daisysacky

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第9章 危険な思いつき つい、魔がさして

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 空美が、子供たちの格好のエジキになっている頃・・・サヤちゃんママは、冷蔵庫の中身を、台の上に出して、腕組みをしている。
小松菜とにんじんの切れ端と、キャベツと白菜。
(うーん、汁物も欲しいわねぇ)
考えこみつつ、ほかには、
しなびた大根少しと、ベーコンがひとかけら。
(おひたしも、欲しいわよね)
豆苗を見つめて、
(サラダは?)
と、頭をフル回転させて、包丁を握る・・・

 その間、空美はぼんやりと
(誰かに、ご飯を作ってもらうって、いつぶりだろう)と、暇なので、思い出している。
確かに、海美が通って、作ってくれるけれど・・・
こうして、誰かの好意に甘えるのは、久しぶりだな・・・と、しみじみと感じていた。
正直、身内じゃないと、ここまで甘えることなど、
考えられない。
それがわかっているだけに・・・
たとえ、ささやかなことでも、今の空美にとっては
非常にありがたかった。
その気持ちだけで、心が温かくなるのであった。

 あっという間に、3つ口コンロが、鍋とフライパンに占領された。
おまけに、文明の利器、電子レンジまで駆使しているので、グツグツとにぎやかな音をたてて、しかも
いい匂いが漂ってきた。
ミアもサヤちゃんも、遊ぶのをやめ、台所に近寄ってくる・・・
そうして2人は、鍋を一心に、見つめている。
「お腹、すいたんだろうな」
と言うと、ミアは黙って、鍋の湯気を飽きることなく
見つめている。
「ここは危ないから、向こうであそぼうかぁ」
空美は、チラリ、と2人を見て、声をかけた。
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