デブよ、さらば!

daisysacky

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第1章  空美の場合

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 「あ・・・あ・・・」
 空美の口からは、悲痛な声がもれてきた。
指をくわえて見ている空美に、ユミは、ギロリ・・・と鋭い視線を飛ばす。
「瘦せるんでしょ?なら、文句は」言わない!」
「で、でも・・・それ、私の食べ差し・・・」
口の中に、つばがじゅわっとたまるのを、感じて。
するとユミは、こともなげに、
「だって もったいないでしょ?お金、払ってんだから。
 大体、あんたが注文するのが、いけないんでしょ」
と、悪魔のようなヒトコトを・・・
「お・・・おに・・・あくま・・・」
「その鬼に、指南して欲しい・・って、言ってるのは、アンタよ」
まるで動じることなく、ユミは、氷の山を」崩している。

空美は悲しくなり、目に涙が浮かんできた。
思い起こせば、幼い頃、ユミは私の1番のお気に入りのりかちゃん人形も、
「遊び方が下手!」という理由で、いつも、奪って独り占めしてたっけ・・・
そんな、ユミの独裁生活を思い出して、さらに泣きたい気持ちになってきた。
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