ちょっと待ってよ、シンデレラ

daisysacky

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scene 1 12時の鐘が鳴り終わる前に

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「あの女性は、何者だったのですか?」
王子の側近が近付いて来て、聞きました。
階段に光る物を見つけ、王子はしゃがみ込むと、
ガラスでできた、小さな靴を握りしめたまま、呆けたようにぼぅっとしています。
(王子は、その辺の若者のように、走り回ったりするのが、苦手なのです)

「彼女は、足に羽がはえたように、軽やかなステップで踊っていたなぁ」
思い出すように、うっとりとしています。
すると、ご学友の男が
「そのまま、飛んで行ってしまいましたね」
と、からかうようにして言うと、王子は少し悲しそうな顔をしました。
ゴホン・・・
側近の一人が、取り繕うように、咳払いをすると、
「ずいぶん、逃げ足の速い、お姫様で」
と、困ったように言いました。
王子はあわてて、かばうように
「おそらく、極度の人見知りなのだろう」
と言うと
「人見知りにも、ほどがありますね」
「深窓の令嬢というのは、恥ずかしがりなものだ」
王子はむりやり、自分を納得させるように、言い返します。
やはり、ちょっとムリがあるのか、
「その割に・・・案外あっさりと、ダンスのお相手を
してくれたものだ」
いじわるく、王子の悪友が言います。
すると王子は胸を張って
「それはもちろん」
自信満々に言います・・
「女と言うものは、みんな、王子に弱い
 ものなのだ」

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