353 / 370
Scene12 シンデレラはガラスの靴をはいて
24
しおりを挟む 何を話したらいいのかわからなくて…エラはただ黙って、
大家さんの声に耳を傾けます。
もしかしたら…エラの旅立ちを、みんなで明るく見送ろう…
という集まりなのか、とひそかにエラは思うのです。
大家さんは、何事かシューヘイにささやくと、
あらかじめ、行先を告げているのか、車はスムーズに
動き出しました。
「なんだか みんなで出かけるの、初めてよね?」
ことさらに明るい声で、カスミはそう言います。
これから、夜中のピクニックにでも出かけるような、
のんびりとした、のん気な口調で。
そう言われればそうだな…エラはうなづきます。
今まで1度も、この街からよそへ、出たことがなかった、と
エラはあらためて、そう思うのです。
「いいかい?トンネルを抜ける手前で降りるからね}
確認するように、大家さんが言うので…
忘れないように、頭の中で繰り返すと、エラは顔をキュッと
引き締めて、
「はい」
真面目な口調で、うなづきました。
だけどどこか、緊張感が辺りを支配して、ピリピリとした
空気が漂っています。
困ったように、車内を見回すと、車のミラーから、
後部座席をのぞき込んでいる、シューヘイと目が合いました。
シューヘイは一瞬、じぃっとエラの顔をのぞき込むと、
目を細めて…
「大丈夫…ここから少し離れてるけど、
30分もすれば、着くと思うよ」
いつもの優しい声で言いました。
大家さんの声に耳を傾けます。
もしかしたら…エラの旅立ちを、みんなで明るく見送ろう…
という集まりなのか、とひそかにエラは思うのです。
大家さんは、何事かシューヘイにささやくと、
あらかじめ、行先を告げているのか、車はスムーズに
動き出しました。
「なんだか みんなで出かけるの、初めてよね?」
ことさらに明るい声で、カスミはそう言います。
これから、夜中のピクニックにでも出かけるような、
のんびりとした、のん気な口調で。
そう言われればそうだな…エラはうなづきます。
今まで1度も、この街からよそへ、出たことがなかった、と
エラはあらためて、そう思うのです。
「いいかい?トンネルを抜ける手前で降りるからね}
確認するように、大家さんが言うので…
忘れないように、頭の中で繰り返すと、エラは顔をキュッと
引き締めて、
「はい」
真面目な口調で、うなづきました。
だけどどこか、緊張感が辺りを支配して、ピリピリとした
空気が漂っています。
困ったように、車内を見回すと、車のミラーから、
後部座席をのぞき込んでいる、シューヘイと目が合いました。
シューヘイは一瞬、じぃっとエラの顔をのぞき込むと、
目を細めて…
「大丈夫…ここから少し離れてるけど、
30分もすれば、着くと思うよ」
いつもの優しい声で言いました。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。

UNNAMED
筆名
ライト文芸
「——彼女は、この紛い物のみたいな僕の人生に現れた、たった一つの光なんです!——」
「——君はね、私にはなーんの影響も及ぼさない。でも、そこが君の良さだよ!——」
自身への影響を第一に考える二人が出会ったのは、まるで絵に書いたような理想のパートナーだった。
紛い物の日々と作り物の事実を求めて、二人の関係は発展してゆく——
これはtrueENDを目指す、世にありふれた物語。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる