ちょっと待ってよ、シンデレラ

Scene12 シンデレラはガラスの靴をはいて

１７

　　もういいのかな、と思い、うっすらと目を開くと、大家さんを
チラリと見上げました。
エラと目が合うと、大家さんはニッコリと笑い、
「そうねぇ～探し物は、案外近くにありそうね」
とだけ言いました。
思わずエラは
「わかるんですか？」
声を漏らすと、エラは極限まで目を見開いて大家さんを見つめます。
「わかったわ」
ため息まじりで、水晶から顔を上げると、大家さんはエラの顔を
じぃっと見ます。
そうして、いつもとはまったく違う、わざと真剣な顔をしてみせて、
「あなたには、これから大きな試練が待ち構えている…
それをうまく乗り越えられるかどうかが…」
そう言うと、大家さんは、じぃっとエラを見つめる。
「今晩にかかっているわね」
そう言うと、しばらく眉間に指をぐいぃ…と押し当てると、
じぃっと何かを見つめているようでした。
「わかった、私もやっぱりついて行くわ」
キッパリとそう言うと…大家さんは、エラの瞳を
見つめました。
　

　今の時刻は、夜の８時…
「とにかくちゃんと身支度して、早めに家を出ましょう」
大家さんは大きくうなづくと、エラと信子に宣言します。
「信子ちゃんは、そうねぇ、一応私と一緒に行きましょう」
何かさらに言いたそうでしたが…エラをチラリと見ると、黙ります。
それから目の前の柱に掛けてある時計を見上げると、
「あとは出掛けるまでの間は‥しっかりと体を休めること。
　今夜はたぶん、長い夜になるから、今のうちに休んで
　おくといいわ！」
そう言うと、静かに大家さんは、水晶玉を抱えると、
部屋を出て行きました。