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Scene12 シンデレラはガラスの靴をはいて
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ようやく部屋の中に入ると、すでにみんながテーブルを囲んで
いました。ドアを開けて入って行くと、
「お疲れ様」
部屋に入って来たエラに気付くと、いの一番に礼美が声をかけます。
その声につられて、一斉に、メグミさんや、信子やカスミが振り向くと、
「今まで、どこへ行ってたの?」と聞きました。
「ちょっと忘れ物を取りに…」
ごまかすように、曖昧な口調でエラはそう言うと、ひとまず
荷物を床に置きます。
それを見た礼美が
「あっ、預かった荷物は、置いてあるからねぇ」
ニコニコした顔で そう言います。
「早くこっちへいらっしゃい!」
手招きするカスミの笑顔を見ると、なぜなのか…無性に泣きたく
なりました。
この人たちが大好きだ。
そう心の底から思います。
ここから離れたくない…
と急に言葉が、胸の奥からせりあがってきました。
ニコニコと、何の疑いもなく、エラのことを見つける仲間たちの、
人のよさそうな顔を見ると…なんだかエラは、胸が一杯に
なったのです。
それでも、どうにか気持ちの波を押し隠し、ユックリとテーブルに
近付くと、カスミの隣の席が1つ、空いていました。
テーブルには、『お疲れさまでした』とチョコレートで描いた、
ホワイトチョコのプレートが載った、オーソドックスな
いちごのホールケーキが、白いお皿の上に載っています。
その周りには、から揚げやサラダやフルーツなど…
テーブル一杯に、ところせましと美味しそうな湯気を
たてています。
「美味しそう!」
エラは思わず声を上げて、空いている席に近付きました。
いました。ドアを開けて入って行くと、
「お疲れ様」
部屋に入って来たエラに気付くと、いの一番に礼美が声をかけます。
その声につられて、一斉に、メグミさんや、信子やカスミが振り向くと、
「今まで、どこへ行ってたの?」と聞きました。
「ちょっと忘れ物を取りに…」
ごまかすように、曖昧な口調でエラはそう言うと、ひとまず
荷物を床に置きます。
それを見た礼美が
「あっ、預かった荷物は、置いてあるからねぇ」
ニコニコした顔で そう言います。
「早くこっちへいらっしゃい!」
手招きするカスミの笑顔を見ると、なぜなのか…無性に泣きたく
なりました。
この人たちが大好きだ。
そう心の底から思います。
ここから離れたくない…
と急に言葉が、胸の奥からせりあがってきました。
ニコニコと、何の疑いもなく、エラのことを見つける仲間たちの、
人のよさそうな顔を見ると…なんだかエラは、胸が一杯に
なったのです。
それでも、どうにか気持ちの波を押し隠し、ユックリとテーブルに
近付くと、カスミの隣の席が1つ、空いていました。
テーブルには、『お疲れさまでした』とチョコレートで描いた、
ホワイトチョコのプレートが載った、オーソドックスな
いちごのホールケーキが、白いお皿の上に載っています。
その周りには、から揚げやサラダやフルーツなど…
テーブル一杯に、ところせましと美味しそうな湯気を
たてています。
「美味しそう!」
エラは思わず声を上げて、空いている席に近付きました。
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