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Scene11  シンデレラは時を越えて

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  清潔に整えられた廊下を、時折走り抜ける人がいたり、大きな
ボストンバッグがドアの側に置かれたりして、場所ふさぎになっています。
それをよけるようにして、エラたちは奥へ奥へと、歩いて行きました。
奥に行くにしたがって、エラは段々と心臓がはちきれそうになるくらい、
ドキドキしてきました。
信子のことが、うまくいくかどうかも、心配だし、
今日の本番のことも、気になります。
それから、これから起こるであろう、すべてのことを思うと…
うまくいくかどうか、自信がなくて、ただただ何も手が付かない
うわの空で、時が平穏無事に過ぎていくのを、ひたすら待つのみなのです。
周りが浮足立っているのではなくて、浮ついているのが、自分では
ないのか…と。
ただただ不安で気になるばかり。
本当にこれでよかったのだろうか?
本当にうまくいくのだろうか…
魔法使いは、嘘いつわりなく、迎えをよこしてくれるのだろうか…と。

すると突然、エラの様子に気付いたのか、
「大丈夫よ」という声がして、
いつの間にかすぐ側に、礼美が立っていました。
「みんながいるし、大丈夫!
 少々とちっても、何とかみんなでカバーするから」
 どうやら礼美は、本番前に、エラがナーバスになっている、と
思われたみたいです。
エラは「ふ~」と深呼吸すると、」
「手の平に、人人人って10回書いて、飲んでご覧!
 落ち着くわよ」
メグミさんも近付いて来て言うので…
エラは素直に、手の平に人人人…と文字を書いて、
「さぁ、もう少しで、順番が来るわよ~」
控室で円陣を組みました。

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