ちょっと待ってよ、シンデレラ

Scene11 シンデレラは時を越えて

３

　　それでもエラは…信子がいいと言わないのに、うかつなことは他の人には、
言えない…と、ちょっと口ごもってしまいます。
ただ察して欲しい…とばかりに、シューヘイの顔をじぃっと見返します。
するとシューヘイは、エラの瞳を見返すと
「しかたないなぁ。エミがそんなに言うんなら、何か事情が
あるんだろうなぁ」
のどかな顔で言います。
　それでもまだ、期待をこめてエラが見つめると、
「わかった、わかった！まぁ、いいかぁ～」
苦笑気味に笑うと、さすがのシューヘイも根負けしたように、
両手を上げて、降参のポーズを取りました。

「でもさぁ、どうしたらいいかぐらい、教えてくれるよね？」
こればかりは、いくらシューヘイでもわかりません。
エラはとにかく、小学生の男の子に、もう伝えてあるから、
この日時に迎えに行ってくれるだけでいい…とシューヘイに告げました。
シューヘイは、黙って聞いていましたが、
「それって、誘拐にはならないよね？」
急に気になったのか、真面目な顔になります。
エラは知らなかったのですが、最近の学校は、
不審な車を見かけたり、不審者を見かけると、通報されるのです。
怪しい人物がうろついたり、声をかけると、やはり不審者として
最悪逮捕される、ということを、初めて知ったのです。
「ボク…犯罪者には、ならないよね？」
慎重に聞くと、
「えっ？そうなの？」
初めて聞く…とばかりに、驚いた顔をしました。