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Scene10 シンデレラを取り戻せ!
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「ま、いいや」
案外あっさりと、男の子は引き下がりました。
それから「ん!」と言って、エラから手紙を受け取ると、
「ボクってさ、姉ちゃんとあんまり似てないでしょ?」
視線を数メートル先の方にやり、淡々として言うので、
どういったらいいのか、わからないままに、
「そんなこと、ないよ」
取り繕うように、エラは言います。
男の子は、チラッとエラを見ると、
「大丈夫、わかってるから」
笑うように言うと、男の子は公園のベンチに座り、
ポツリポツリと話始めました。
「姉ちゃんてさ、ボクとお母さんが違うんだぁ」
うたうように言うのを、エラは黙って、横にいる男の子の顔を見ます。
男の子は前を向いたまま、表情1つ、変えません。
「ボクもね、新しいお父さんが出来たのは、とっても嬉しかった
けど…それよりも、姉ちゃんが出来たのが、1番うれしかったんだ」
そう言うと…一瞬、幸せそうな表情を浮かべました。
エラは自分と同じだ…と思うけれど、それは黙っておくことに。
「母さんがね、とても嬉しそうだから、それでいいと思ったし、
それよりも母さんが、今までみたいに、ムリして働かなくて
いいのなら、それでいいと、思ったんだ」
なぜだか、小さな顔を、ポッと赤らめます。
だけどなんだか…エラには、その横顔が、頼もしく見えました。
案外あっさりと、男の子は引き下がりました。
それから「ん!」と言って、エラから手紙を受け取ると、
「ボクってさ、姉ちゃんとあんまり似てないでしょ?」
視線を数メートル先の方にやり、淡々として言うので、
どういったらいいのか、わからないままに、
「そんなこと、ないよ」
取り繕うように、エラは言います。
男の子は、チラッとエラを見ると、
「大丈夫、わかってるから」
笑うように言うと、男の子は公園のベンチに座り、
ポツリポツリと話始めました。
「姉ちゃんてさ、ボクとお母さんが違うんだぁ」
うたうように言うのを、エラは黙って、横にいる男の子の顔を見ます。
男の子は前を向いたまま、表情1つ、変えません。
「ボクもね、新しいお父さんが出来たのは、とっても嬉しかった
けど…それよりも、姉ちゃんが出来たのが、1番うれしかったんだ」
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エラは自分と同じだ…と思うけれど、それは黙っておくことに。
「母さんがね、とても嬉しそうだから、それでいいと思ったし、
それよりも母さんが、今までみたいに、ムリして働かなくて
いいのなら、それでいいと、思ったんだ」
なぜだか、小さな顔を、ポッと赤らめます。
だけどなんだか…エラには、その横顔が、頼もしく見えました。
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