ちょっと待ってよ、シンデレラ

Scene10 シンデレラを取り戻せ！

１５

「さびしくない？」
　ふとエラが、信子に聞くと…信子はニッコリとして頭を振り、
「もともと、あんまり学校に行ってなかったし…友達もいないからね」
思いのほか、あっけらかんとしているのには、驚きました。
　エラとしては、そういう経験がないから、わからなくて…
それが、当たり前なのかどうかも、分かりませんが…
それでも、何かがあったのでは、と思うのです。
　
　礼美たちは、信子のことを心配して、あまりその辺のことは
話題にはしません。
エラもまた、聞くことはないので、信子がそのことをどう思って
いるのか、が気になりました。
もしかしたら、あんな風に、父親が学校に押しかけたのかも
しれません。
それとも何か、別の出来事があったのか…
大人たちは、それぞれ想像して、納得しているのです。

「困ったわね！」
礼美が言うと、
「そうよね！」
メグミさんも、うなづきます。
「とにかく、なんとかしないと…」
「そうね、これ以上、何かあったら、いけないわね」
礼美とメグミさんは、信子の方を見ると、とりあえずダメ元で、
警察にも相談しよう、ということになったのです。
バタバタと、夜逃げのように、引っ越しをしたので…
他の人がどう思っているのか、がひどく気になりました。