ちょっと待ってよ、シンデレラ

Scene10 シンデレラを取り戻せ！

９

「ところでおまえ、どう思う？」
　再び２人きりになると、王子は親友でもある、大臣の息子に
聞きました。
大臣の息子は、「そうだなぁ」とうなづくと、
「でもさぁ、さっきの言葉！気になるんだけど？」と言います。
「さっきのって、何？」
王子は、何か言われたっけ～と、頭をかしげます。
シンデレラのことで、頭が一杯だったため、ほとんど覚えて
いないのです。
「あれだよ、ホラ！」
大臣の息子は、じれったそうにすると…
「『あなたには、１つ試練があるでしょう』と言うやつ！」
すると「あぁ～」
王子はうなづきました。
「確かに、そんなこと、言ってたなぁ」

　水晶を片づけた後、名残惜しそうにしていると、魔法使いが
思い出すように言ったのです。
シンデレラはもう少しで、帰って来るけれど…その代わり、
王子には、１つの試練を乗り越えなくてはならない…と。
「それはなんですか？」
聞いたけれど、魔法使いは、曖昧に笑って、
「その時になれば　わかります」としか言いませんでした。
「あれは一体、なんだろうね？」
悪友が言うと、
「さあね」
王子はあっさりとそう言うと、
「それでも、シンデレラが帰ってくるのなら、多少のことは、
　しかたないしさ！」
明るくそう言うと…先ほどとは打って変わって、嬉しそうな顔で、
「もう、花嫁探しは、おしまいにしないとな！」
あっけらかんと、そう言いました。