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scene 9 もう1つののシンデレラ物語
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「これって…お母さんの字に似てる…」
思いがけず、エラはまたも懐かしい想いに捕らわれました。
じっくりと、味わうようにして字面を眺めると、ようやく
読み始めました。
『エミへ…
エミ、というよりも、エラよね!
あなたに知らせないと、いけないことがあります。
なぜならば、慎重に事を為して欲しいからです。
いよいよ、あなたが帰ることの出来る日が、決まりました!
ただ、それには…
あなたにはキチンと、覚悟をしておいてもらわねばいけません…
残念なことに、
この世界と、そこの世界をつなぐ道は、かなり入り組んでいて…
そう容易に渡ることは出来ないのです。
だから…チャンスは、1度しかありません。
失敗すれば、それでおしまい。
この1回を逃すと…エラ、可哀そうだけど、
もうこの世界には、戻って来れないでしょう…」
読んでいるうちに、思わずエラは緊張して、一旦手を止めます。
やはり、そうヤスヤスとは、いかないのだ…と、軽いショックを
受けているようです。
『それから…この世界に戻って来れるのは、たった1人…
つまり、私が、迎えに行くことは出来ません。
12時の鐘が鳴り終わるまでに、あなたは、その場所へ行かなければ、
道は永久に、閉ざされてしまうことでしょう…
だからエラ、
絶対にそれを忘れないで、必ず間に合うようにしてください。
私は迎えには行けないけれど、勇気をもって、挑んで下さい』
それは、流れるような書体で、不思議な用紙…普通の紙とは違う、
ツルツルとして、薄くて透き通りそうな紙の上に書かれてあり、
読み終わるごとに、その文字は、すぅ~っと消えていきます。
そこには、その場所と時間が書かれてあり、焼き印のように
黒々と焼き付けてありました。
これが消えたら困るなぁ~と思っていると、その時間と場所が書かれた
図だけは、赤い炎となって燃え始め、その紙に、黒く焦げめを
つけるように、その痕跡を残すと、小さな紙となって、
塵のように消え去りました。
そして、ヒラヒラと、エラの手のひらに舞い降りると、その小さな
地図だけが、エラの手元に残されました。
思いがけず、エラはまたも懐かしい想いに捕らわれました。
じっくりと、味わうようにして字面を眺めると、ようやく
読み始めました。
『エミへ…
エミ、というよりも、エラよね!
あなたに知らせないと、いけないことがあります。
なぜならば、慎重に事を為して欲しいからです。
いよいよ、あなたが帰ることの出来る日が、決まりました!
ただ、それには…
あなたにはキチンと、覚悟をしておいてもらわねばいけません…
残念なことに、
この世界と、そこの世界をつなぐ道は、かなり入り組んでいて…
そう容易に渡ることは出来ないのです。
だから…チャンスは、1度しかありません。
失敗すれば、それでおしまい。
この1回を逃すと…エラ、可哀そうだけど、
もうこの世界には、戻って来れないでしょう…」
読んでいるうちに、思わずエラは緊張して、一旦手を止めます。
やはり、そうヤスヤスとは、いかないのだ…と、軽いショックを
受けているようです。
『それから…この世界に戻って来れるのは、たった1人…
つまり、私が、迎えに行くことは出来ません。
12時の鐘が鳴り終わるまでに、あなたは、その場所へ行かなければ、
道は永久に、閉ざされてしまうことでしょう…
だからエラ、
絶対にそれを忘れないで、必ず間に合うようにしてください。
私は迎えには行けないけれど、勇気をもって、挑んで下さい』
それは、流れるような書体で、不思議な用紙…普通の紙とは違う、
ツルツルとして、薄くて透き通りそうな紙の上に書かれてあり、
読み終わるごとに、その文字は、すぅ~っと消えていきます。
そこには、その場所と時間が書かれてあり、焼き印のように
黒々と焼き付けてありました。
これが消えたら困るなぁ~と思っていると、その時間と場所が書かれた
図だけは、赤い炎となって燃え始め、その紙に、黒く焦げめを
つけるように、その痕跡を残すと、小さな紙となって、
塵のように消え去りました。
そして、ヒラヒラと、エラの手のひらに舞い降りると、その小さな
地図だけが、エラの手元に残されました。
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