256 / 370
scene 9 もう1つののシンデレラ物語
30
しおりを挟む
それから少し真面目な顔をすると
「もしも、あなたが考えていることをするのなら…
よーく考えなさいね。
あなた…もうそれで、チャンスがなくなるわよ。
後悔しないようにね」
大家さんがそう言うので、エラは静かにうなづきます。
戻って来た礼美は、何のことかわからずに、キョトンとして
2人を見つめました。
それでもエラは…なんで何も言わないのに、わかるのだろう…と
訝し気に思っていると、
「そりゃあ、言わなくても、見ればわかるわよ~」
大家さんは、意味ありげにニヤリ…と笑いました。
それからいつもの表情に戻ると、礼美の方を向いて、
「遠慮なく、連れて来てくれて、かまわないわよ!
こっちは1人暮らしの老人だし…
相手も、ここまでは追いかけて来ないと思うわよ」
真面目な顔をして言いました。
礼美は、ペコリと頭を下げると、元来た道を戻ります。
エラはというと、
「あなた…もう帰っていいわよ」と言う礼美の言葉に甘えて、
このままカスミの待つアパートへと、帰って行きました。
少しいつもよりも遅れて帰りつくと…やはりカスミの方が
先に帰っていました。
「おかえりなさい」
台所で、珍しくエプロンをつけて、振り向きます。
すでに何やら、食べ物の匂いがするので、
「ごめんなさい!すぐに支度するわ」
エラはあわてて、カバンを置きに走ります。
「いいわよ、たまには私がやるわ。
ゆっくりしてて、いいのよ」
にこやかにカスミが言います。
なぜだか機嫌のよさそうな声で、水道の蛇口をひねる音がします。
珍しく、カスミの鼻歌が聞こえてきました。
「もしも、あなたが考えていることをするのなら…
よーく考えなさいね。
あなた…もうそれで、チャンスがなくなるわよ。
後悔しないようにね」
大家さんがそう言うので、エラは静かにうなづきます。
戻って来た礼美は、何のことかわからずに、キョトンとして
2人を見つめました。
それでもエラは…なんで何も言わないのに、わかるのだろう…と
訝し気に思っていると、
「そりゃあ、言わなくても、見ればわかるわよ~」
大家さんは、意味ありげにニヤリ…と笑いました。
それからいつもの表情に戻ると、礼美の方を向いて、
「遠慮なく、連れて来てくれて、かまわないわよ!
こっちは1人暮らしの老人だし…
相手も、ここまでは追いかけて来ないと思うわよ」
真面目な顔をして言いました。
礼美は、ペコリと頭を下げると、元来た道を戻ります。
エラはというと、
「あなた…もう帰っていいわよ」と言う礼美の言葉に甘えて、
このままカスミの待つアパートへと、帰って行きました。
少しいつもよりも遅れて帰りつくと…やはりカスミの方が
先に帰っていました。
「おかえりなさい」
台所で、珍しくエプロンをつけて、振り向きます。
すでに何やら、食べ物の匂いがするので、
「ごめんなさい!すぐに支度するわ」
エラはあわてて、カバンを置きに走ります。
「いいわよ、たまには私がやるわ。
ゆっくりしてて、いいのよ」
にこやかにカスミが言います。
なぜだか機嫌のよさそうな声で、水道の蛇口をひねる音がします。
珍しく、カスミの鼻歌が聞こえてきました。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
10年間の結婚生活を忘れました ~ドーラとレクス~
緑谷めい
恋愛
ドーラは金で買われたも同然の妻だった――
レクスとの結婚が決まった際「ドーラ、すまない。本当にすまない。不甲斐ない父を許せとは言わん。だが、我が家を助けると思ってゼーマン伯爵家に嫁いでくれ。頼む。この通りだ」と自分に頭を下げた実父の姿を見て、ドーラは自分の人生を諦めた。齢17歳にしてだ。
※ 全10話完結予定
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】竜人が番と出会ったのに、誰も幸せにならなかった
凛蓮月
恋愛
【感想をお寄せ頂きありがとうございました(*^^*)】
竜人のスオウと、酒場の看板娘のリーゼは仲睦まじい恋人同士だった。
竜人には一生かけて出会えるか分からないとされる番がいるが、二人は番では無かった。
だがそんな事関係無いくらいに誰から見ても愛し合う二人だったのだ。
──ある日、スオウに番が現れるまでは。
全8話。
※他サイトで同時公開しています。
※カクヨム版より若干加筆修正し、ラストを変更しています。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる