ちょっと待ってよ、シンデレラ

scene 9 もう1つののシンデレラ物語

１８

　　そんなある日のこと…
いつものように集まって、リハーサルの準備をしていると、
玄関先に、人影が動くのが見えました。
いち早く、メグミさんが気が付いて、
「だれか、いるみたい！」と言うと、ほうきを手にもって、
玄関に行こうとします。
すると礼美が、
「強盗だったら、どうするの？危ないからやめて！」と言い、
ひとまず、様子を見よう…とそうっと階段に近付きました。
きしむ段に気を付けて、音を立てぬように、そうっと２階に
向かいます。
もしかしたら、怪しい侵入者の姿が見えるかも、と期待して、
ベランダに向かいました。
そっと、窓の外に出ると…気のせいではなく、その姿は
すぐに見つけられました。

「誰かしら…」
礼美がそうっと外を見ます。
うまいこと、相手は気付いていないようで、その隣に、
信子も顔をのぞかせました。
「あら？」
意外な人を見つけたように、思わず声を上げると、
驚いた様に、目を大きく見開いて、凝視しました。
確かにそこには、おちつきなく目の前の道を、ウロウロ
している、不審者が！
身じろぎせず、見入っている信子に礼美は気付き、
「もしかして、知ってる人？」と、聞きます。
なぜならば…信子の顔が、蒼白に近い顔色だったからです。
「どうして？」
信子がつぶやくと、その男は、ふいにこちらを見上げて、
「おまえ、そこで何してるんだ？」と聞きました。