ちょっと待ってよ、シンデレラ

daisysacky

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scene 9 もう1つののシンデレラ物語

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「どんな人?」
 つい、好奇心に負けて、エラが聞くと
「クマのような人!」
すかさず礼美が答えます。
大男で、もっさりしているけれど、抜群の包容力で、礼美をいつも
見守ってくれるのです。
「礼美さんとこはね…まだ新婚さんなのよ!」
からかうように、メグミさんが言うと、
思わずエラも身を乗り出して、
「ホント?」
エラが聞きます。
礼美はそれを見て苦笑して、
「でも全然そんな、ロマンティックな関係じゃないから~」と笑うのです。
「彼とはね、そんな…甘やかな関係じゃないのよ」
そう言うと、エラの顔を見て、笑います。

 メグミさんはというと、今日は人形の形に、布をくり抜きながら、
「あの人ね…なんでも昔…バリバリのキャリアウーマンだった
そうなの…」
チラリ、と礼美の横顔を見ながら言います。
「そんなこと、ないわよ」
礼美は頬を赤くして、笑う…
「全然…ダメダメよぉ」
照れ臭そうに笑うと…
今朝のいさかいを思い出します。

いつも無口で、何もしゃべらない夫、コータ。
とても優しすぎる人なのです。
寝坊しても、ちっとも怒らないし、
料理が苦手な礼美のことも、何1つ文句を言わないのです。
「ごめん…今日、寝坊しちゃった」
目覚まし時計を見て、あわてて台所に姿を現すと、NHKのニュースをつけて、
コータは黙って、トーストを焼いていました。



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