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Scene 8 シンデレラは眠れない
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何から話そうか…と、エラは迷います。
礼美の方を見ると、微笑みながら、エラの第一声を、辛抱強く
待ち構えています。
エラは、クチビルを少し湿らせると、ようやく口を開きました。
「おとぎの国から来たんだけどね、実はね、わたし…
信じてもらえないだろうけど、御迎えが、もしかしたら
来るかもしれないの…」
そう言うと、礼美の手は、ガラスの靴に触れようとして、
急にピタと止まり…
「えっ?帰っちゃうの?」
と、ひどくガッカリとした声を出しました。
そんな礼美を見て、エラはあわてて
「いや…帰ると決まったわけじゃないのよ。
そうじゃないけど、どうにかお迎えが、来そうなの!」
なんだか曖昧な物言いです。
礼美はボンヤリとそれを聞きながら、どこかで聞いたような話だなぁと
思います。
もしかしたら、かぐや姫の話と、ごっちゃになってる?
そう思うと…急にエラの話も、嘘くさく聞こえてきました。
礼美のそんな心の変化には気付かずに、エラはうかがうようにして、
礼美の顔を見ます。
「残念だなぁ」
礼美は、ため息まじりに言います。
「きっと頼りになる仲間が一人、増えると思ったのに…」
残念そうに、思いっきりため息をつきました。
「そんな、とんでもない!」
エラがあわててそう言うと、申し訳なさそうに
「私なんて、なんにも出来ない、デクノボーだし、
足は、引っ張りまくりだし~」と言いながらも、
「もしかしたら、帰らないかもしれないし…」
なんだか、諦めきれない顔で、つぶやきます。
すると礼美は「えっ?」と言いながら、エラを見返します。
エラは頭を振って、ニッコリ微笑むと、
「そんなことがあっても、いいかな、と思っただけよ」
と言って礼美の方を向くと、
「協力して欲しいの」
礼美の手をギュッと、かなり強く握りしめました。
礼美の方を見ると、微笑みながら、エラの第一声を、辛抱強く
待ち構えています。
エラは、クチビルを少し湿らせると、ようやく口を開きました。
「おとぎの国から来たんだけどね、実はね、わたし…
信じてもらえないだろうけど、御迎えが、もしかしたら
来るかもしれないの…」
そう言うと、礼美の手は、ガラスの靴に触れようとして、
急にピタと止まり…
「えっ?帰っちゃうの?」
と、ひどくガッカリとした声を出しました。
そんな礼美を見て、エラはあわてて
「いや…帰ると決まったわけじゃないのよ。
そうじゃないけど、どうにかお迎えが、来そうなの!」
なんだか曖昧な物言いです。
礼美はボンヤリとそれを聞きながら、どこかで聞いたような話だなぁと
思います。
もしかしたら、かぐや姫の話と、ごっちゃになってる?
そう思うと…急にエラの話も、嘘くさく聞こえてきました。
礼美のそんな心の変化には気付かずに、エラはうかがうようにして、
礼美の顔を見ます。
「残念だなぁ」
礼美は、ため息まじりに言います。
「きっと頼りになる仲間が一人、増えると思ったのに…」
残念そうに、思いっきりため息をつきました。
「そんな、とんでもない!」
エラがあわててそう言うと、申し訳なさそうに
「私なんて、なんにも出来ない、デクノボーだし、
足は、引っ張りまくりだし~」と言いながらも、
「もしかしたら、帰らないかもしれないし…」
なんだか、諦めきれない顔で、つぶやきます。
すると礼美は「えっ?」と言いながら、エラを見返します。
エラは頭を振って、ニッコリ微笑むと、
「そんなことがあっても、いいかな、と思っただけよ」
と言って礼美の方を向くと、
「協力して欲しいの」
礼美の手をギュッと、かなり強く握りしめました。
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