ちょっと待ってよ、シンデレラ

Scene ８ シンデレラは眠れない

５１

「いいんじゃない？」
　礼美は言いました。
いつものように、人形劇のボランティアで、人形の手入れをした後で、
手を洗いに行った礼美を待ち伏せして…こっそりと
「ちょっといいですか？」と声をかけたのです。
エラは声をかけるのも、
どうしたって、緊張します。
すると
「なら一緒に帰りましょ」
あっさりと、礼美は答えました。
一緒にいた、メグミさんも、他の人も、気を使ってくれたようで、
「さぁ、私は、パートに行かなくちゃ！」とそそくさと、立ち上がります。
「じゃ、私もちょっと…」
信子も立ち上がりました。


「礼美さんは…ご主人が、何も言わないんですか？」
自転車がある、と言うカスミに付き合って、荷物をかかえると、
ゆっくりと、商店街を歩きます。
今日はカスミが遅い…というので
エラは少しゆっくりです。
バイトの後に、ちゃちゃっと買い物を済ませたので…
のんびりと帰ればいいだけです。
すると礼美はニッコリ笑い、
「うちのダンナさん…性格だけはいいのよ～」
のろけなんだかどうだかわかりませんが…
それでもそう話す礼美は、とても幸せそうで…
独身者とバツイチメンバーにとっては、
礼美の結婚生活については、羨ましいかぎりです。

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