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Scene 8 シンデレラは眠れない

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「なるべく早く、返事をしてちょうだい!
 今回を逃すと…次はいつになるか、わからないから」
 魔法使いは、そう言いました。
タイムリープのメカニズムは、全くわからないけれど、
魔法使いの言うことは、おそらく正しいのだろう、
これが最後のチャンスかも、とエラは覚悟をしました。

「いい?次の満月まで、もう間がないからね!
 今度を逃すと、難しいかもしれないからね!」
 魔法使いは眉間にしわを寄せて、重々しい声で、エラに
告げたのでした。

 ついに、この日が来てしまった!
もう少し時間があると思っていたので、エラは少し
哀しくなりました。
ずっと、心待ちにしていたというのに。
でも今は、この生活に少しずつ、楽しんでいる自分がいます。
先が見えない現実だけれど、これから何が起こるかわからない…
という未知の部分があるので、ワクワクドキドキが止まらないのです。

おとぎの国は、小さな狭い世界で…
しかも王子との結婚生活が待っています。
国中の女の子が、みんな憬れている生活だというのに…
どうしてだろう、今の自分には、身の丈が合わないというか、
少しもうれしくないのです。
きっと退屈な日々が、待っているのでしょう。
時には疲れ果て、王子のことを、憎むこともあるかもしれません。
そんなことを思うと…
そこにいるのは、果たして自分でいいのか?と、
疑問に思い始めたのです。
自分には、もっとふさわしい場所が、あるのではないだろうか?
王子様には、もっとふさわしい人が、いるのではないだろうか、と。

魔法使いのおばあさんは、何も言わないけれど、エラのそうした
心の変化に、気付いているような、気がしました。

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