ちょっと待ってよ、シンデレラ

Scene 7 シンデレラを探せ！

２１

「ねぇ、あなた…それでも、王子様と、結婚する
つもりあるの？」
　村で１番の器量よしと名高い娘が、友人に聞こえる
ようにして、言います。
丁度目の前に、王様からのお触れが、これ見よがしに
貼られているのを見て、話しているのです。
本人がお布れを見た瞬間…
決してタイプではないけれど、それでも
どの娘にも平等に、もちろん自分にも玉の輿のチャンスが訪れた！と興奮していました。
たまたま周りに誰も居なかったせいか…
彼女の口も羽のように軽くなり、
街１番の小町譲は、「うーん」とこれみよがしに
うなると、
「王子様が、錯乱状態でも…玉の輿よ！
　この際だから、少々問題ありでも、目をつぶるしか
　ないでしょ！」
なんとかなるでしょ、と笑いながらも、
この王子を振るとは、どんな姫君なのだろう…と、
とんでもない噂を耳にしても、考えずにはいられないのでした。
「それにね！」と付け加えると、
「案外優しいかもしれないし…」と微笑みつつも言い、
「私、１度でいいから、プリンセスと言われてみたかったの…」と、夢見がちに言います。
「とにかくね、経済力のある男性がいいわぁ～
　それならば、マザコンだろうと、少しぐらい変でも
　ガマンできる」
とキッパリ言い切ると、楽しそうに笑うのでした。