ちょっと待ってよ、シンデレラ

Scene 7 シンデレラを探せ！

１

　その頃・・・エラのいなくなったおとぎ話の世界では、上や下をひっくり返すような大騒ぎとなっていました。
シンデレラの消失劇を目の当たりにして・・・
あれは、妖精のしわざか、
はたまた、森にすくう魔物のしわざか、と王子様は
頭を悩ませていたのです。
エラを追っかけた、部下たちも一様に、
「王子様、あれは普通の姫君ではありません。
　どうか、別の姫君をお選びください」
拒否されるのを覚悟で、言うのですが・・・
手に入らないとなれば、何が何でも欲しくなるのが、
常というもの・・・
王子も、初めはちょっと変わった女の子だな～くらいにしか思っていなかったのですが、日を追うにつれ、
その氏素性もわからない、謎の女の子のことが、
段々と気になってきたのです。
わからないことだらけなのを、知れば知るほどに、
意地になってきて、それが恋心なのか、それとも
王子のプライドなのか、混乱してきていました。
とにかく、王子である自分を袖にする女性を、どうにかして探し出すのだ・・・と、半ば意地のようになっていました。

　半ば、だまし討ちのようにして、手に入れたガラスの靴を、その風変わりな姫の形見として、大切に持ち帰りました。
そしてガラスの箱を作らせて、その中に入れると、
朝な夕なに眺めているのでした。

「君は一体、何者かい？みんなが言うように、妖精なのかい？」
靴に向かって話しかける姿に、王様もいたく心配されるのでした。