ちょっと待ってよ、シンデレラ

scene 5 それは、魔女の館？

３６

　カスミはその場を離れて、大家さんの家の前の行列から少しでも離れるようになるまで、黙ったまま
口を開こうとしません。
角を曲がったところの電信柱まで来たところで、ようやくエラの方に、向き直りました。
「で、なんだっけ？」
振り向いたところで、待ちかねたように、エラは
「ねぇ、一体、何があるの？」
食いつくようにして聞くと・・・カスミは苦笑して、
仕方がない、とばかりにエラを見つめました。
「大家さんの占いは、よく当たる・・・と評判なの。
　だから、遠くからもそれを聞きつけて、占って
もらいに来るのよ」
と言うので、エラはまるで珍しいものを見るように、
その人の連なりを眺めました。

「それって、すごいことなの？」
「あら！」
カスミは、エラの顏を見返します。
「確か、あなたにも何か言ってたじゃない。
　失せ物は、必ず現れる・・・って」
「あ、それがそうだったの？」
エラはようやく、合点が言ったようで、うなづきます。
「それ・・・なんだか不思議な予言だな、って思ったの。あれ・・・魔法の呪文じゃなかったの？」

相変わらずのエラの言葉に・・・
カスミは少しめまいを感じます。
この子は一体、どこまで本気で、どこからが天然
なのだろう・・・
なんだか、厄介な子と、関わりを持ったな、と
改めて思ったのでした。