ちょっと待ってよ、シンデレラ

Scene 4 合い言葉はビビデバビデブー

１１

　カスミはエラの思惑には気付かないようで、
「怒らないで聞いてね」
と、前置きすると、部屋の中に入ってきました。
そのまま台所に行き、コップに水を注ぐと、一気に
それを飲み干しました。
「あなたって、どっちかというと、いつも受け身じゃない。
自分から、何かしようとはしないでしょ？
でも・・・男の人って、案外保守的というか・・・
そういうタイプが多いのよね」
ため息をつくように、一気に言うと、カスミは台所の
椅子に腰を下ろしました。
エラは冷蔵庫のドアを閉めると、麦茶の入ったビンを手に取って、カスミの前に座りました。

「私みたいに、なんでもズケズケ言う人って、嫌われることが、多いのよね～
シュウヘイは言わないけど、苦手て言う人、多いと
思うの。
でも、あなたは違うわよね？
いつもニコニコして、余計なこと、口走らない・・・
そういう従順なタイプって、いつの時代も求められてる。だから、あなたって、いい奥さんになると思う」

「そんなこと、ないですよ・・・」
エラはピンとこなくて、遠慮がちに言います。すると
「そんなこと、あるの！」
ムキになったように、カスミは言い返しました。