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Scene 4 合い言葉はビビデバビデブー
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カスミの家にルームメイトとして、居候するようになったある日のこと・・・
カスミが仕事に出かけて、残されたエラは、いつものように、せっせと床磨きをしていました。
すると、ほんの数日前まで、継母の言われるままに、せっせと家中の床や、手すりにいたるまで、一人で
果てしなく磨いていたことを思い出しました。
朝から日が落ちて見えなくなるまで、チリひとつ落ちていないように・・・自分の顏が写るくらいにきれいに磨く・・・
あの日々は、それでも難癖つけられましたが、今は
そこまでしなくてもいい、とカスミは言うのです。
だけど習慣というものは恐ろしいもので、エラが
シンデレラ(灰かぶり)と呼ばれていた時の習い性で、ついエプロンをつけると、戦闘モードのスイッチが入り、ぞうきんが擦り切れるくらい、せっせと
掃除にいそしむのです。
カスミは、そんなエラのことを、呆れてはいたけれど、感心もしていました。
「あなた・・・家政婦さんとか、お掃除の仕事、向いているんじゃないの?」
言われてみれば、この世界に長く住むことになるのならば、それもありなのかな・・・と、エラは思うのです。
暖炉があれば、完璧な灰の処理とか、薪割りとか
得意なのに、今の家ではその能力を発揮できることもありません。
大体履歴書に、なんと書けばいいのやら。
まさか、特技 灰かぶり、とも書けないので、自分は
なんとつまらない人間なのだろう・・・と思うのでした。
カスミが仕事に出かけて、残されたエラは、いつものように、せっせと床磨きをしていました。
すると、ほんの数日前まで、継母の言われるままに、せっせと家中の床や、手すりにいたるまで、一人で
果てしなく磨いていたことを思い出しました。
朝から日が落ちて見えなくなるまで、チリひとつ落ちていないように・・・自分の顏が写るくらいにきれいに磨く・・・
あの日々は、それでも難癖つけられましたが、今は
そこまでしなくてもいい、とカスミは言うのです。
だけど習慣というものは恐ろしいもので、エラが
シンデレラ(灰かぶり)と呼ばれていた時の習い性で、ついエプロンをつけると、戦闘モードのスイッチが入り、ぞうきんが擦り切れるくらい、せっせと
掃除にいそしむのです。
カスミは、そんなエラのことを、呆れてはいたけれど、感心もしていました。
「あなた・・・家政婦さんとか、お掃除の仕事、向いているんじゃないの?」
言われてみれば、この世界に長く住むことになるのならば、それもありなのかな・・・と、エラは思うのです。
暖炉があれば、完璧な灰の処理とか、薪割りとか
得意なのに、今の家ではその能力を発揮できることもありません。
大体履歴書に、なんと書けばいいのやら。
まさか、特技 灰かぶり、とも書けないので、自分は
なんとつまらない人間なのだろう・・・と思うのでした。
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