ちょっと待ってよ、シンデレラ

scene 2 魔法がとけた、その時に

１８

「そんな、とんでもない未開の地から来た、田舎娘
　なんかに・・・だまされたりしてないでしょうね～
　・・・いいわ、私が見定めてあげる」
カスミは、一方的にまくしたてます。
「お兄ちゃんは、人がいいから、だまされやすいのよ。なんでもうのみにしては、ダメよ」
少しボリュームの大きめの、ハキハキした声が、
受話器の向こう側で、響いていました。
シュウヘイは、ほんの少し「まいったな」と思います。
カスミが来たら、まためんどくさいことになりそうなのです。
「おにいちゃんはね、すぐに目を付けられやすいんだから・・・気を付けてよ」
いつまでも、自分は信用されないんだなぁ・・・と
シュウヘイは、そう思います。
だけど、気持ちと言葉はウラハラで、
「はいはい、わかった」と、素直に返事をして、余計なことを言われる前に、ソソクサと電話を切りました。

　一方、エラは・・・電話のことなど、全くものともせずに、ヒタスラグッスリと、眠っています。
（よっぽど、疲れていたんだな）
シュウヘイは、エラの寝顔を見ながら、思わず微笑みました。