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scene 2  魔法がとけた、その時に

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 男性は何やらブツブツ言っていましたが、あらためてエラを見ると
「キミ、いくつ?」
 唐突に聞きます。
エラは、男性の顔を見返します。
「16・・・」
「ふぅん、高校生かぁ・・・」
エラは、キョトンとした顔で、男性を見ます。
「どこに住んでるかって聞いても、わかんないか」
と言いつつ、急にエラをマジマジと見て
「ずいぶん、日本語が上手だけど、きみって、日本人?」
エラは、またも「はっ?」となり、戸惑います。
男性はまたも、ため息をついて、
「それも答えられないかぁ」
頭をかきむしります。
ブツブツと・・・
「まいったなぁ」
「どうしたらいいんだ」
「とんでもない子、拾ったなぁ」
「でも・・・ほっとくわけには、いかないよな」
心の声をダダモレにして、先ほどからひとり言を、
しゃべり散らすと・・・

「ところで、キミ、名前は?」と聞きます。
エラは困ったように、男性を見ると、
「私は・・・エラ」と言いました。

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