ちょっと待ってよ、シンデレラ

daisysacky

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scene 2  魔法がとけた、その時に

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「これじゃあ、まんま、ローマの休日だな」
「ローマの休日って、なんですか?」
エラは、聞きなれない言葉に、素直に聞き返します。
「おまえ、知らないの?」
 男性は、ガバッと体を起こし、信じられないものを
見るような目付きで、エラを見つめます。
エラは大まじめに、うなづくと、
「まいったなぁ~」と、ため息をつきました。
「ときにキミ・・・家はどこ?」
あらためて、エラに聞いて来るので、エラはなんの気もなしに、
「森の向こうです」
まっすぐな目で、答えました。
「森の向こう?」
 男性は、素っ頓狂な声を出すと、キョロキョロと
辺りを見回して、
「それって、どこだ?」と聞きました。

 エラはようやく、自分はとんでもない見当違いを
していることに、気付きました。
暗くて、気付かなかったけれど、そういえば明らかに
景色が違います。
(私、森の中にいたよね?)
(なのに、今いるのは、どこ?)
 
 人通りは絶え、車もほとんど通りません。
信号も、夜間は押しボタン式で、赤いランプが
チカチカしているだけです。
森など、影も形もない・・・というか、先ほどから
気になっていたのですが、目の前にいる男性。
この人の服装が、エラの時代の人とは、とても
思えないのです。
すべてが、見たこともなく、聞いたこともないことばかり・・・
エラは、次第に混乱してきました。
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