ちょっと待ってよ、シンデレラ

scene 2 魔法がとけた、その時に

１

「もしもし、どうされましたか？」
　突然、どこかから声が聞こえてきました。
一体どのくらい、こうしていたのか・・・
エラはようやく、自分が気を失っていたと気付きました。
初めはまだぼぅっとしていて、目を開けるのもつらいくらいでしたが、
「もしもし・・・こんなところで、寝てはいけませんよ」
まるで、酔っ払いに間違われたのか、両肩に手が伸びて、少し乱暴に揺さぶられて・・・
エラはようやく、目を開きました。
その瞬間、目の前の光景に、衝撃を受けるのでした。

　先ほどは確かに、森の中にいたはずでしたが・・・
森の気配は一切なく、あるのは漆黒の闇でした。
そこに、ポツポツと灯りが見え、先ほどから
男性が、心配そうにエラをのぞきこんでいます。
その服装も、今まで見たこともなく、
一体、ここはどこなのか？と混乱するのです。
エラの混乱など、気付かずに、その男性は
「ケガはなさそうだし・・・どこも悪そうにはみえないけど・・・大丈夫ですか？」
かなり近くに、知らない男の顔があり、エラは
思わずぎょっとしました。
「顔色も悪くないし・・・脈拍も正常そうだけど・・・」
エラの手首を手に取り、話しかけてくるのですが・・・エラには、さっぱりわけがわかりません。
頭が混乱したまま、まだぼぅっとしていると、
「頭を打ったの？もしもーし、救急車、呼ぼうか？」
またしても、ユサユサと揺らすので・・・
ようやくエラものどから、か細い声を絞り出して、
「おたく、どなた？ここは、どこ？お城は？」
と、聞きました。
すると、「えっ？」という声と共に、
「君、大丈夫？夢でも見てたの？」と言う声が聞こえました。