夢町高校文化祭

daisysacky

文字の大きさ
上 下
52 / 53
いつかどこかで…

   18

しおりを挟む
「え~なになに、なんですか?」
 人一倍好奇心旺盛なナギコが、興味津々で、顔を輝かせる。
カナエは、息が止まるか、というくらい…息をするのも忘れ、
目を大きく見開いた。
「おい、ちょっとやめろよ!」
あわててリョウが、シュンに飛びつくようにして、制止したので…
「なぁんだ、つまんねぇの!」
シュンはようやく、ふざけるのをやめた。
「まぁ、とにかく…今日のことは、君たちのせいばかりじゃ、ないんだ」
リョウが取り繕うように言うと、ピタリと足を止める。
「さぁ、ここが出口だ」
2人を振り返った。

 気が付けば、いつの間にか、ナギコたちは校門の前まで来ていた。
先ほどまでのにぎやかさは、すっかりおさまっていた。
校舎の方も、ボチボチ後片付けを始めているようだった。
「あれ?今、何時?」
お昼ごろだと思っていたのに…
もうそんなに、時間がたったのか?
カナエはボンヤリとする。
「お昼…食べ損ねた」
ナギコがポツンと言うと、急にお腹が空いたことに気が付いた。

「ごめんね!何だか、せっかくのステージ、台無しにして」
 校門に寄り掛かるようにして、あらためてリョウが謝る。
シュンもリョウの隣に立つと、
「でも、楽しかったよ」と付け加える。
「私たちこそ!
 巻き込んでしまって、ごめんなさい」
カナエは深々と、頭を下げた。
「いいって、いいって!
 君は何も悪くないんだから」
あわててリョウが、口をはさむと、カナエの手を軽く握り
「君たちに会えて、本当によかった」とにっこりと微笑んだ。

 これで、さようならなの?
何だか心に、ポッカリと穴が開いたような気がする。
カナエはなぜか、急に悲しくなってきた。
どうしてなのか、わからない…
自分でも、自分の気持ちがわからずに、戸惑っている。
私ってば、どうしたというの?
この気持ちは、一体なに?

 リョウが何か、話しかけてくる。
だけども、カナエの耳には、届かなかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ようこそ、悲劇のヒロインへ

一宮 沙耶
大衆娯楽
女性にとっては普通の毎日のことでも、男性にとっては知らないことばかりかも。 そんな世界を覗いてみてください。

隣の人妻としているいけないこと

ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。 そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。 しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。 彼女の夫がしかけたものと思われ…

後悔と快感の中で

なつき
エッセイ・ノンフィクション
後悔してる私 快感に溺れてしまってる私 なつきの体験談かも知れないです もしもあの人達がこれを読んだらどうしよう もっと後悔して もっと溺れてしまうかも ※感想を聞かせてもらえたらうれしいです

性的イジメ

ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。 作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。 全二話 毎週日曜日正午にUPされます。

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

処理中です...