夢町高校文化祭

daisysacky

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いつかどこかで…

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「実は…君たちの知り合いに、頼まれていたんだ」
 カナエとナギコの顔を見比べて、リョウが言った。
「知り合い?」
「それって、だれ?」
そんな話は、聞いたことがない…
2人はポカンとする。
じゃあ、あの前夜祭の時、屋上にいたのも、仕組まれていたこと
なのか?
自分たちがスカウトした、とばかりに思っていたので、
それを聞いて、カナエは呆然とした。
「ねぇ、その人って、だれ?」
さらに重ねて聞くけれど、
「え~っ!それは、どうしようかなぁ」
困ったように、リョウはシュンと顔を見合わせる。
「言うなって、言われたしなぁ」
我関せずの態度のツトムも、澄ました顔で口をはさむ。
「な、そうだよなぁ?」
3人が顔を見合わせるのを、
「え~っ!なによ、それ!」
ナギコが不満そうに、口をとがらせた。

「ま、とにかく…その人に頼まれて、ボクたちが呼ばれたってわけさ」
 話を終わらせようと、ヒョイとシュンが、ナギコの頭をポンポンと
撫でる。
何だかムリヤリ、丸めこまれたようで…
「何だか、スッキリしないなぁ」
憮然とした顔のナギコ。
「じゃあ、屋上にいたのは、その人に頼まれたから?」
まだ納得のいかないカナエだ。
2人して、リョウに詰め寄った。

「あっ、それは、本当に偶然だよ」
 リョウは無敵の笑みを浮かべる。
「そうだよ!」
さっきまで、ブスッとして、考え込んでいたナギコが、
突然思いついたように言う。
「だって、私たちがあそこに行ったのは、誰かに言われたのではない、
 偶然なんだもん!」
どっちかが仕組まない限りは、そうなのだ。
(もっとも、誘導するのが得意な人ならば、別だろうけれど…
 例えば、誰かの話に出たとか、何かですり込まれたとか?)
そんなのは、あり得ない。
考えてもキリがない。
まぁ、いっかぁ~
追及するのを、ナギコはあきらめた。

「あれはね、下見のつもりで、上がったんだ」
そうリョウが言うけれど、やはり手引きをする人がいなければ、
屋上なんて、上がれるのだろうか?
やっぱり、無理がある…
やはりカナエは腕組みをして、
「うーん」とうなっていた。
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