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第14章 一時休戦
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再び杏子に背を向けて、待子が離れようとすると、
「あら、店員さん!注文は取らないの?」
ふざけた杏子のからかう声が、飛んでくる。
「えっ」
仕方なく、待子が顔だけクルリと振り返ると、杏子をチラリと
一瞥すると、
「ご注文は?」
しごく事務的な顔をして、タン!と水の入ったコップを机に置くと、
エプロンのポケットから伝票を取り出す。
「そうだなぁ~今日は待子とご飯を…と思ってるから、
とりあえずコーヒーね」
「ホット?アイス?」
「ホット」
「そ」
ボールペンで、サラサラと書くと、
「今日は、彼氏とデートをしないんですかぁ」
わざと大きな声で言うと、チラリと杏子の指先で光る、
リングに視線を走らせた。
「うふふ」
急に杏子が笑う。
「何よ、気持ち悪い!」
こちらを見て、ヘラヘラする杏子に、あきれたように待子が、
からかうように言う。
「なんかねぇ、アイツ…
毎日 連絡してくるから、正直面倒くさくて、たまんないのよ」
面倒くさい、と言う割には、ちっともうっとおしそうには見えない。
「あら、そう?それはお幸せにぃ」
他人ののろけ話、やってらんないわ、とばかりに
待子がスッと杏子に背を向ける。
「えっ、ちょっと待ってよぉ~
待子だって、このところ、忙しそうじゃない」
あわてて杏子は、たまらん、とばかりに呼び止める。
「私は杏子の言う、忙しいのとは、違うからねぇ」
わざと偽悪的に、そう言うと
「そんなこと、ないよぉ~
待子のこと、いいなぁと言う人、意外といるんだからねぇ」
褒めているのだか、けなしているのだか…
杏子はじぃっと、待子を見つめ返した。
「あら、店員さん!注文は取らないの?」
ふざけた杏子のからかう声が、飛んでくる。
「えっ」
仕方なく、待子が顔だけクルリと振り返ると、杏子をチラリと
一瞥すると、
「ご注文は?」
しごく事務的な顔をして、タン!と水の入ったコップを机に置くと、
エプロンのポケットから伝票を取り出す。
「そうだなぁ~今日は待子とご飯を…と思ってるから、
とりあえずコーヒーね」
「ホット?アイス?」
「ホット」
「そ」
ボールペンで、サラサラと書くと、
「今日は、彼氏とデートをしないんですかぁ」
わざと大きな声で言うと、チラリと杏子の指先で光る、
リングに視線を走らせた。
「うふふ」
急に杏子が笑う。
「何よ、気持ち悪い!」
こちらを見て、ヘラヘラする杏子に、あきれたように待子が、
からかうように言う。
「なんかねぇ、アイツ…
毎日 連絡してくるから、正直面倒くさくて、たまんないのよ」
面倒くさい、と言う割には、ちっともうっとおしそうには見えない。
「あら、そう?それはお幸せにぃ」
他人ののろけ話、やってらんないわ、とばかりに
待子がスッと杏子に背を向ける。
「えっ、ちょっと待ってよぉ~
待子だって、このところ、忙しそうじゃない」
あわてて杏子は、たまらん、とばかりに呼び止める。
「私は杏子の言う、忙しいのとは、違うからねぇ」
わざと偽悪的に、そう言うと
「そんなこと、ないよぉ~
待子のこと、いいなぁと言う人、意外といるんだからねぇ」
褒めているのだか、けなしているのだか…
杏子はじぃっと、待子を見つめ返した。
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