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第14章 一時休戦
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ほんの1か月ちょっと前に、夜逃げのようにして、家をでた
ひよりちゃん家族。
心配になるのは、当然といえば当然のこと。
今は裁判所から、ひよりちゃんの父親に再三注意をなされ、
接近禁止命令が出ている、と聞いている。
こんなまだ、幼いひよりちゃんが…怖い想いをしいられ、
実の自分の父親から逃げ回るのを、余儀なくされるとは…
どんな気持ちなのだろう、と待子はフビンに思う。
「ありがとう」
素直に明るい声で、ひよりちゃんが言うと、
「おかげさまで、こうして元気に…外に出られるようになりました」
と、ニコニコしながら、待子に言う。
「でもね!また…忘れた頃に、来るかもしれないから…
気を付けないと、ダメよ!」
なんだか他人事には思えなくて、眉間にキュッとしわを寄せて、
待子が言う。
「わかってるよ」
これにも、ひよりちゃんは素直にうなづく。
「どうもありがとう」
輝くように、まぶしい笑みを浮かべると、待子を見つめる。
「学校、どこに行ってるの?」
確か今までの学校は、この下宿屋の近くだ。
ここに通うには、結構離れているので、登校も大変だろう、と
待子は気が付く。
するとひよりちゃんが「うん」とうなづくと、
「クマガイさんが、近くの学校に通えるように、話をしてくれて
いるみたい」
嬉しそうに言う。
「でもね、やっぱり友達がたくさんいる、今までの学校へ、
本当言うと、また通いたいのだけどね」
やっぱりサラリと、ひよりちゃんは言う。
「今は母さんが…まだダメだって言ってるの。
あの人は…いつ何時、また押しかけて来るのか、
わからないからだって」
そんな風に、娘に言うひよりちゃんのお母さんは…
一体どんな気持ちで、そう言うのだろう…と、
この幼い女の子のことを、同情の入り混じった、複雑な思いで
見つめた。
ひよりちゃん家族。
心配になるのは、当然といえば当然のこと。
今は裁判所から、ひよりちゃんの父親に再三注意をなされ、
接近禁止命令が出ている、と聞いている。
こんなまだ、幼いひよりちゃんが…怖い想いをしいられ、
実の自分の父親から逃げ回るのを、余儀なくされるとは…
どんな気持ちなのだろう、と待子はフビンに思う。
「ありがとう」
素直に明るい声で、ひよりちゃんが言うと、
「おかげさまで、こうして元気に…外に出られるようになりました」
と、ニコニコしながら、待子に言う。
「でもね!また…忘れた頃に、来るかもしれないから…
気を付けないと、ダメよ!」
なんだか他人事には思えなくて、眉間にキュッとしわを寄せて、
待子が言う。
「わかってるよ」
これにも、ひよりちゃんは素直にうなづく。
「どうもありがとう」
輝くように、まぶしい笑みを浮かべると、待子を見つめる。
「学校、どこに行ってるの?」
確か今までの学校は、この下宿屋の近くだ。
ここに通うには、結構離れているので、登校も大変だろう、と
待子は気が付く。
するとひよりちゃんが「うん」とうなづくと、
「クマガイさんが、近くの学校に通えるように、話をしてくれて
いるみたい」
嬉しそうに言う。
「でもね、やっぱり友達がたくさんいる、今までの学校へ、
本当言うと、また通いたいのだけどね」
やっぱりサラリと、ひよりちゃんは言う。
「今は母さんが…まだダメだって言ってるの。
あの人は…いつ何時、また押しかけて来るのか、
わからないからだって」
そんな風に、娘に言うひよりちゃんのお母さんは…
一体どんな気持ちで、そう言うのだろう…と、
この幼い女の子のことを、同情の入り混じった、複雑な思いで
見つめた。
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