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第14章  一時休戦

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「なに、どうしたの?」
 早速待子の様子に気が付いて、レイコさんが聞いて来る。
「これ、誰が書いたんだろ?」
目の前の表を指差すと、
「あぁ、それ?」
全く平然とした顔で、レイコさんはうなづく。
「それ、私が付け足しておいたの」
何か、ヘン?と、なぜだか得意そうに言う。
「なんで?どうして?」
表を指し示したまま、待子は聞いた。

 最初の項目は、わかるにしても…
ゴキゲンうかがいって、なに?
ローテーションで、大家さんのゴキゲンをうかがうって、どうなのよ?と、
やはり待子には、理解できない。
「まぁ そうねぇ」
のん気な声を出しながら、レイコさんは眠たそうに、ぶわぁとアクビをする。
「ね、そんなにヘン?」
「ヘンじゃないけど…これって、必要?」
「必要というかぁ~大家さんが元気かどうか、健康チェックみたいなもの?
 ま、そう思ってもいいと思うわ」
ニコニコしながら、レイコさんは、胸をそらした。

「なぁに、それ?」
 2人が話し込んでいると、ヒョコッとマイコが顔をのぞかせた。
この人は、レイコさんが大好きなのだ。
声を聞きつけて、すぐに出て来たのだ。
「ね、何を見ているの?」
興味津々で聞くので、2人は黙って、先ほどの当番表を指し示す。
「え~、なに?」
目をキラキラさせながら、ホワイトボードに近付いて来ると、
「なに、それ?」
やはり待子と同じ反応を示した。
「ゴキゲンうかがいって、何よそれ」と笑うので、
さすがのレイコさんも、急に自信をなくしたようで、
「そんなに、ヘン?
 ネーミングセンスがないのかなぁ」
照れくさそうにして、レイコさんは頭をかいた。
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