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第14章 一時休戦
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表面的には、平穏な日々が訪れた。
サラさんの父親である、というあの男も、しばらくはこの家に
顔をのぞかせてはいないし、
大家さんも普段通り、暮らしていた。
もちろん相変わらず、じっとはせず、動き回っていたけれど…
ただ違ったのは、この住人の暮らしに変化が訪れていたのだ。
いつものホワイトボードの隣に、新たな表がお目見えした。
それは翌日、いつものように共有トイレに向かった時に、何気なく
目にしたのだ。
トイレに並んだあと…いつものように、お風呂の希望時間と、
お掃除当番のチェックをしていると…
その隣に、見慣れない紙を発見したのだ。
「えっ、なに?」
初めは…大家さんからの連絡事項か、町内会のイベントのお知らせなのか、
と思っていた。
するとその紙はまだ新しくて、どうやらコピー用紙に書き込んだものらしく、
材質もペラペラしていた。
さらに、大家さんの字とはまったく違う筆跡で、
『掃除当番』と書かれていた。
「ソージトーバン?」
あれ?
今まででも、あったよね?
奇妙に思う。
トイレとか、洗濯物干し場のあたりは、今も住人が、順番に
掃除していたはずだ…
さらによく見ると、
『玄関、階段、お風呂場、ごみ置き場
大家さんのご機嫌うかがい』とある。
それを1人、1つずつ、順番に受け持つようになっていた。
それでも前半のところは…何となく理解できるけど…
「ゴキゲンうかがい?」
最後の1つは、一体誰が思いついたのだろう…
と、待子は頭をひねる。
しばらく無言で、立ち尽くしていると…
「おはよう」
そこへレイコさんが、やって来た。
サラさんの父親である、というあの男も、しばらくはこの家に
顔をのぞかせてはいないし、
大家さんも普段通り、暮らしていた。
もちろん相変わらず、じっとはせず、動き回っていたけれど…
ただ違ったのは、この住人の暮らしに変化が訪れていたのだ。
いつものホワイトボードの隣に、新たな表がお目見えした。
それは翌日、いつものように共有トイレに向かった時に、何気なく
目にしたのだ。
トイレに並んだあと…いつものように、お風呂の希望時間と、
お掃除当番のチェックをしていると…
その隣に、見慣れない紙を発見したのだ。
「えっ、なに?」
初めは…大家さんからの連絡事項か、町内会のイベントのお知らせなのか、
と思っていた。
するとその紙はまだ新しくて、どうやらコピー用紙に書き込んだものらしく、
材質もペラペラしていた。
さらに、大家さんの字とはまったく違う筆跡で、
『掃除当番』と書かれていた。
「ソージトーバン?」
あれ?
今まででも、あったよね?
奇妙に思う。
トイレとか、洗濯物干し場のあたりは、今も住人が、順番に
掃除していたはずだ…
さらによく見ると、
『玄関、階段、お風呂場、ごみ置き場
大家さんのご機嫌うかがい』とある。
それを1人、1つずつ、順番に受け持つようになっていた。
それでも前半のところは…何となく理解できるけど…
「ゴキゲンうかがい?」
最後の1つは、一体誰が思いついたのだろう…
と、待子は頭をひねる。
しばらく無言で、立ち尽くしていると…
「おはよう」
そこへレイコさんが、やって来た。
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