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第13章 桜ハウスを守れ!
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「オバサン、やっぱり少しは気を付けなくちゃあ。
無理したら、それこそ、ここを閉めなくちゃ いけなくなるわよ」
サラさんが大家さんに向かって、たしなめるように言う。
それからじぃっと見つめる、待子と佐伯さんの視線を感じて、
「私ね、オバサンのお目付け役もしてるのよ」と言うと、ニッコリとした。
「そうなの!」
突然大家さんが、大きな声でうなづくと、
「この人のおかげで、中々1人で自由に、気ままにできないからねぇ」
ニヤッと笑ってそう言う。
だけど、少しも嫌そうには感じられない。
この2人、仲がいいんだなぁ~と、サラさんと大家さんが顔を見合わせて
ニッコリするのを見ると…なぜだか心がホンワカと暖まるような気がした。
それなので、なぜサラさんが、わざわざオバサンの家にいるのか、
待子にもわかるような気がしてきた。
それよりも何よりも…大家さんが元気そうなのが、ホッと一安心。
だけど半年後と、期限を区切られたことについては、思うたびに
気がめいってくる。
「どうしよう…」
思わずつぶやくと、
「大丈夫?」
サラさんが、顔をのぞき込んできた。
「大丈夫…」
肩を落として、スゴスゴと部屋に戻ろうとすると…サラさんに呼び止められた。
「ごめん、ごめんねぇ~」
さらに声をかけられる。
待子はクルリと振り返ると、
「いいえ」と頭を振り、サラさんの方を向いた。
「うちのお父さんねぇ~あぁ見えて、結構心配性なのよ」
いつの間にか待子のすぐ後ろに来て、サラさんが立っている。
「そうなんですか?」
何と返事を返したらいいのか、待子はちょっと困った顔をした。
無理したら、それこそ、ここを閉めなくちゃ いけなくなるわよ」
サラさんが大家さんに向かって、たしなめるように言う。
それからじぃっと見つめる、待子と佐伯さんの視線を感じて、
「私ね、オバサンのお目付け役もしてるのよ」と言うと、ニッコリとした。
「そうなの!」
突然大家さんが、大きな声でうなづくと、
「この人のおかげで、中々1人で自由に、気ままにできないからねぇ」
ニヤッと笑ってそう言う。
だけど、少しも嫌そうには感じられない。
この2人、仲がいいんだなぁ~と、サラさんと大家さんが顔を見合わせて
ニッコリするのを見ると…なぜだか心がホンワカと暖まるような気がした。
それなので、なぜサラさんが、わざわざオバサンの家にいるのか、
待子にもわかるような気がしてきた。
それよりも何よりも…大家さんが元気そうなのが、ホッと一安心。
だけど半年後と、期限を区切られたことについては、思うたびに
気がめいってくる。
「どうしよう…」
思わずつぶやくと、
「大丈夫?」
サラさんが、顔をのぞき込んできた。
「大丈夫…」
肩を落として、スゴスゴと部屋に戻ろうとすると…サラさんに呼び止められた。
「ごめん、ごめんねぇ~」
さらに声をかけられる。
待子はクルリと振り返ると、
「いいえ」と頭を振り、サラさんの方を向いた。
「うちのお父さんねぇ~あぁ見えて、結構心配性なのよ」
いつの間にか待子のすぐ後ろに来て、サラさんが立っている。
「そうなんですか?」
何と返事を返したらいいのか、待子はちょっと困った顔をした。
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