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第12章  桜ハウスへようこそ

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  ほかにも話し相手には困らない…というメリットもある。
この下宿屋のデメリットは…いささかプライバシーなど無視される
場合もある、というところだろうか?
「大家さん…いるのかなぁ」
考えるように、待子は言った。
ここの管理人さんは、いつもアクティブで、じぃっと椅子に座りっぱなし、
ということはない。

「ホント…大家さんって、働き者よね」
ポツリとつぶやくと、
「占ってくれるのかなぁ」
思わず本音が飛び出す。
やっぱりそうかぁ~
占いかぁ
ボンヤリと待子は、物思いにふけっている。
「私…占ってもらったことは、ないんだよねぇ」
ボンヤリとした顔で、待子は言う。
「だって…占い師だって、知らずに越してきたんだもん」
「そりゃあ、そうよねぇ」
はじけるように、佐伯さんは笑った。
「それにしても…なんだかレトロな家だよねぇ」
 なんだか嬉しそうに、彼女は言う。
「そっかぁ~そういう考え方もあるんだぁ」
 佐伯さんが言うと、なんだか素敵に聞こえて、意外に思う。

 ギシギシと鳴る階段も。
ミシミシときしんだ音を立てる廊下も。
滑りの悪い引き戸もすべて…
佐伯さんは楽しそうにさわり、はしゃぎながら歩く。
どうしてそんなに、楽しそうなんだろう?
待子は不思議に思う。
「だってトイレは共同だよ?
 お風呂だってついていないんだよ?
 洗濯機だって、共同なんだよ?
 そんなのって…今時ないじゃない」
思わず待子が、ヤケになったように言うと、佐伯さんは
楽しそうにケラケラ笑う。
「いいじゃん、いいじゃん!
 共同生活って感じでさぁ。
 合宿みたいで、楽しそうだよ?
 寂しくないしさ」
むしろうらやましそうに言うから・・・
何かあったのかなぁと、逆に思った。
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