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第10章 思いがけない味方登場
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「で、どうなったの?」
杏子の母さんがようやく実家に帰ったので、付き合ってと
久しぶりに待子は呼び出された。
(もっとも久しぶり、といっても、3日ぶりなのだが)
先日見つけた、ちょっと素敵なカフェで、ご飯を食べようと
いうことになったのだ。
カウベルを鳴らして、店内に入ると…やはり大人な落ち着いた雰囲気で…
ごく小さな音量に絞られた、ピアノの音が聞こえてくる。
「おや、いらっしゃい」
やはりこの前と同様に、優しそうなマスターが、笑顔を向けてくれた。
「やっぱりいいよね。落ち着くわぁ」
杏子がそう言うと、
「お好きなトコへどうぞ」
声がかかった。
さほど大きくはない、昔風の喫茶店。
マスター1人で、どうやって切り盛りしているのだろう…といつも
不思議に思う。
点々と、常連らしいお客さんが、思い思いのポーズで、コーヒーを
楽しんでいる。
「じゃあ、ここ!」
早速足を踏み入れると、2人はお気に入りの窓際の席をチョイスする。
そこからは…あのアップライトのピアノが、存在感を放って鎮座していた。
「あの人は来るの?」
杏子が待子に聞くと
「さぁ~1週間前に1度か2度、って言ってたから…」
この前会った時のことを、待子は思い出していた。
ようやく落ち着くと、目の前に座る杏子と目を見合わせる。
待子の視線に気付くと、
「なぁに?何かあった?
ニコリと笑って聞く。
「何か…というかぁ、色んな事があり過ぎて…」
この数日のことを、思い返していた。
ひよりちゃんのこと、急な引っ越しに付き合ったこと。
大家さんとサラさんの代わりに、ひよりちゃんの様子を見に行ってること…
杏子は堰を切ったように、しゃべり続ける待子のことを、
目を丸くして、黙って聞いていた。
杏子の母さんがようやく実家に帰ったので、付き合ってと
久しぶりに待子は呼び出された。
(もっとも久しぶり、といっても、3日ぶりなのだが)
先日見つけた、ちょっと素敵なカフェで、ご飯を食べようと
いうことになったのだ。
カウベルを鳴らして、店内に入ると…やはり大人な落ち着いた雰囲気で…
ごく小さな音量に絞られた、ピアノの音が聞こえてくる。
「おや、いらっしゃい」
やはりこの前と同様に、優しそうなマスターが、笑顔を向けてくれた。
「やっぱりいいよね。落ち着くわぁ」
杏子がそう言うと、
「お好きなトコへどうぞ」
声がかかった。
さほど大きくはない、昔風の喫茶店。
マスター1人で、どうやって切り盛りしているのだろう…といつも
不思議に思う。
点々と、常連らしいお客さんが、思い思いのポーズで、コーヒーを
楽しんでいる。
「じゃあ、ここ!」
早速足を踏み入れると、2人はお気に入りの窓際の席をチョイスする。
そこからは…あのアップライトのピアノが、存在感を放って鎮座していた。
「あの人は来るの?」
杏子が待子に聞くと
「さぁ~1週間前に1度か2度、って言ってたから…」
この前会った時のことを、待子は思い出していた。
ようやく落ち着くと、目の前に座る杏子と目を見合わせる。
待子の視線に気付くと、
「なぁに?何かあった?
ニコリと笑って聞く。
「何か…というかぁ、色んな事があり過ぎて…」
この数日のことを、思い返していた。
ひよりちゃんのこと、急な引っ越しに付き合ったこと。
大家さんとサラさんの代わりに、ひよりちゃんの様子を見に行ってること…
杏子は堰を切ったように、しゃべり続ける待子のことを、
目を丸くして、黙って聞いていた。
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