桜ハウスへいらっしゃい!

daisysacky

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第9章   ネクストミッション!

   12

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(えっ、この人が?)
 待子は驚いて、その男の人を、穴が開きそうなくらいじぃっと見つめる。
まさに山男、と言った方が似合うくらい、見事にクマオトコな外観だ。
どう見ても…アーティストどころか、学校の先生にも見えない…
(ま、先生にも、色んな種類の人がいるけれど)
 すると男性は、うっすらと微笑み
「よく言われます。似合わないって」
そう言うと、待子の方を見る。
「そんなつもりは…」
あわててそう言うけれど、そのクマオトコなる男性は…
やっぱりアーティストとか先生には、程遠い存在に見えていた。
申し訳ないけれど。
「この人ね…こう見えて、中々繊細なところがあるのよ」
にこやかにサラさんが言うけれど、やっぱりそんな風にも見えない。
いくら言っても反応が薄いので、あきらめたのか
「それよりも早く、片付けましょ?
 ひよりちゃんのお母さん、迎えに行かないといけないし!」
 急にまた、セカセカとした口調で、サラさんが言う。
ようやく本来の用事を思い出す、待子だった。

 とにもかくにも、その”アーティスト”なるクマオトコの家に、
荷物を運び込むことになり、サラさんの後ろに続いて、廃ビルのような
暗いコンクリートの建物に、足を踏み入れる。
まさに肝試しの現場に潜入するような感覚なのだが、
当のひよりちゃんは、全く気にする様子が見受けられない。
(この子、案外キモが座っているのねぇ)
逆に感心しながら、入り口をくぐると、
「この階段を上がってね」
階段を差し示される。
その階段も…裸電球が切れかけて、パチンパチンと点滅するような、
薄暗い感じの雰囲気のある階段だった。
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