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第8章 援軍来たる…
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「片付いた?」
駅の雑踏の中で、ようやく杏子の姿をみとめると…
待子は、泣き出したいほど、ホッとした気持ちになっていた。
「うん、ようやく」
トートバッグを肩にかけ直すと、杏子は疲れた顔で微笑む。
「いつ、着いたの?」
「いつって、駅に?」
笑いながら杏子が聞くと
「あ、そっかぁ~」
待子は、杏子がなぜ笑ったのかが、なんとなくわかった。
杏子は待子に送れること、2日。
ようやく今日…越してきたのだ。
「ねぇ、オバサンは?」
ようやく懐かしい人に、会えた気がして…待子の緊張の糸が、
プツンとはじけるような気がした。
とめどなく話したいことが、口からあふれ出しそうだけれど…
親しき中にも礼儀あり
その気持ちも、少し抑えようとガンばっていた。
「お部屋にいるわ。2人で、行ってらっしゃいって、エンリョしてたわよ」
と言ってきたのだ。
「なんだ!一緒に来ればいいのにぃ」
ほんの数日前まで話していた、というのに。
何だか、ずいぶん長い間、会わなかったような気がしてきた。
「会いたかったよぉ」
今までの緊張が、一気にほぐれるようだ。
待子は思わず、杏子に飛びついた。
「あら、あら~」
予想外に喜ぶ待子を、ちょっと驚いたように杏子は驚いた顔をするけれど。
「よく、がんばった!」と言わると、何だか子供の様にうれしい。
それでもニコニコと…待子の頭をくしゃくしゃと撫でる。
「もうねぇ~しょっぱなから、変な人ばかりなの。
いきなり、窓から飛び込んで来る人がいるし…
部屋をのぞかれるし…
おトイレもない。
お風呂もないし…
プライバシーなど、全然ないの!」
待子はギュッと杏子にしがみついたまま、
子供のように言うと、杏子は呆れた顔をした。
駅の雑踏の中で、ようやく杏子の姿をみとめると…
待子は、泣き出したいほど、ホッとした気持ちになっていた。
「うん、ようやく」
トートバッグを肩にかけ直すと、杏子は疲れた顔で微笑む。
「いつ、着いたの?」
「いつって、駅に?」
笑いながら杏子が聞くと
「あ、そっかぁ~」
待子は、杏子がなぜ笑ったのかが、なんとなくわかった。
杏子は待子に送れること、2日。
ようやく今日…越してきたのだ。
「ねぇ、オバサンは?」
ようやく懐かしい人に、会えた気がして…待子の緊張の糸が、
プツンとはじけるような気がした。
とめどなく話したいことが、口からあふれ出しそうだけれど…
親しき中にも礼儀あり
その気持ちも、少し抑えようとガンばっていた。
「お部屋にいるわ。2人で、行ってらっしゃいって、エンリョしてたわよ」
と言ってきたのだ。
「なんだ!一緒に来ればいいのにぃ」
ほんの数日前まで話していた、というのに。
何だか、ずいぶん長い間、会わなかったような気がしてきた。
「会いたかったよぉ」
今までの緊張が、一気にほぐれるようだ。
待子は思わず、杏子に飛びついた。
「あら、あら~」
予想外に喜ぶ待子を、ちょっと驚いたように杏子は驚いた顔をするけれど。
「よく、がんばった!」と言わると、何だか子供の様にうれしい。
それでもニコニコと…待子の頭をくしゃくしゃと撫でる。
「もうねぇ~しょっぱなから、変な人ばかりなの。
いきなり、窓から飛び込んで来る人がいるし…
部屋をのぞかれるし…
おトイレもない。
お風呂もないし…
プライバシーなど、全然ないの!」
待子はギュッと杏子にしがみついたまま、
子供のように言うと、杏子は呆れた顔をした。
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