桜ハウスへいらっしゃい!

daisysacky

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第7章   突然あらわれた謎の住人

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「占いが本業なんだけどね、ものすごく当たる…って、評判あるのねぇ」
「えっ、そうなの・」
 待子はひどく驚いて、その黒ずくめの女を凝視すると、
「なんだ、あなた。知らなかったんだぁ」
目をむいて、ケラケラと笑う。
「彼女目当てに、来る人も、結構いましたよ」
 レイコさんはそう言うと…その後ろに控えていた住人たちも、
うんうんとうなづく。
「あら、中田さん!占ってもらったこと…あるの?」
挑発的な様子で、レイコさんは、くだんの女…黒づくめの女に
声をかけた。
ただ茫然としている、待子のことは、楽しそうにチラリと見る。

「そうよぉ、気になるじゃない」
中田という女、レイコさんを見下ろすと、わざと背筋をピンと伸ばして、
胸を張る…
女性にしては、かなりの大柄な女だ。
レイコさんの身長は、155cmとかなり小柄で、化粧をしていないと
子供のように華奢で可愛らしい。
さすがにシワやシミなどは隠し切れないが…本人はあまり、頓着
していなさそうだ。
今朝と同じラフなTシャツと短パン姿のままだ。
「今日は、仕事は?」
やはり気になるのか、後ろの方から、金髪のマイコが声をかけた。

 気が付くと…ひよりちゃんのお母さんと外国人の2人組以外の
全員が、待子の様子をのぞき込んでいる。
(どんだけ暇なんだ?)
待子は呆れてしまうけれども。
そんな待子のことなどお構いなしに、黒ずくめの中田さんは声をひそめると
「時々大家さんのトコにね、色んな人達が来てるでしょ」
と言うので…どんだけ詮索好きなのか、と思いながらも、
さすがにそれは、まだ見ていないなぁ~と、待子は思わず
大家さんのことを思い浮かべた。
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