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daisysacky

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第7章   突然あらわれた謎の住人

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「大家さんって、何者?」
 思わずひよりちゃんに、待子が聞く。
心当たりがあるのか、ひよりちゃんはクスッと笑うと、
「大家さんは、大家さんよ」と言う。
するとドアのすき間から、のぞき込んでいた黒ずくめの女が
(今朝、チラリと見かけた人なのか…)
ニヤリと笑い、
「だから言ったでしょ、大家さんは魔女なのよ」
意味ありげにそう言った。

 一体、どういうこと?と、思わず振り返ると、自信満々の瞳で
こちらを見ている。
「やっと、気付いた?」
妙に余裕のある声で言うので…待子の頭の中では、ますます
疑問が膨れ上がってくるのだ。
混乱した顔の待子を見て、フフフ…と笑うと、
その女は、待子の顏をじぃっと見返す。
「不思議なのよねぇ~気付くと側にいるし、
 いつの間にか、こちらの気配を察してる、というか…
 気を読んでいるというか…」
ますます眉唾なようなことを言うのだ。
それもまた、わかるのか
「とてもね、よく気が付くのよ」と付け加えて
「わかるでしょ?」
自信満々な口調で、待子に言う。
そんな風に言われると、なるほどそうかな、と思うのだ。

それよりも、この人は何者なのだ、とむしろ思っていると
「あ、大家さんの事?」
レイコさんが、住人の列から、顏をぐぃっと突き出した。
「だってあの人~魔女なんだもの」
レイコさんまでそう言うと、クスクス笑う。
また出た!魔女?
「魔女って…ホウキに乗って、魔法をかける、あの魔女?」
「うーん、ほかにあるのかなぁ」
と言いながら、真面目な顔をする待子に気付くと、
コホンと咳ばらいをする。
「それはどうか、知らないけど…
 ま、要するに、占い師と言えばいいのかなぁ」
呆けた顔の待子に、レイコさんは真面目な顔でそう言った。
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