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第6章 魔女の館へようこそ!
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あまりにも呆気なく、潮が引くように女たちが去っていくと…
まるで象の大群に襲われた後のように、シーンと静まり返っていた。
(あれは、なんだったの?)
取り残された待子は、呆然として立ち尽くす。
興味本位なのか、すさまじい悲鳴に驚いたのか…
おそらく両方なんだろうけれど…
まさかこんな形で、他の住人と顔合わせするとは!
わからないものだなぁと、ボンヤリと待子は思っていた。
だが、問題はここにある。
一斉に押しかけてきたけれど1人1人の名前も、顔も覚えていない…
あまりのことで、頭がフリーズして、完璧に舞い上がっていたから、
無理もないのだが。
「こんなんで…大丈夫かな、ワタシ…」
いささか自信喪失だ。
それでも、すぐさま窓に近付くと、しっかりとカギをかける。
もう1個、カギをつけようか…と、思っていると、
「あとで、私の方からも、注意しておくわ」
いきなり背後で声がした。
(しまった!鍵をまだかけてなかったか!)
ギョッとして振り返ると、そこには大家さんが、心配そうに
こちらをうかがうようにして、立っていた。
「ここの人たちはね…みんな事情をかかえている人達で…
ちょっと変わってるけど、みんないい人たちなのよ」
心配そうに、待子に声をかけた。
「だけど…」と、待子は先ほど侵入された、窓を振り返る。
それでもやはり、何もしていなくても、こうして入って
来られるのでは…安心して過ごせない…と思う。
「心配なら、2重のカギにすればいいわ」
相談するまでもなく、待子の気持ちを読んだのか、大家さんは
静かにそう言った。
まるで象の大群に襲われた後のように、シーンと静まり返っていた。
(あれは、なんだったの?)
取り残された待子は、呆然として立ち尽くす。
興味本位なのか、すさまじい悲鳴に驚いたのか…
おそらく両方なんだろうけれど…
まさかこんな形で、他の住人と顔合わせするとは!
わからないものだなぁと、ボンヤリと待子は思っていた。
だが、問題はここにある。
一斉に押しかけてきたけれど1人1人の名前も、顔も覚えていない…
あまりのことで、頭がフリーズして、完璧に舞い上がっていたから、
無理もないのだが。
「こんなんで…大丈夫かな、ワタシ…」
いささか自信喪失だ。
それでも、すぐさま窓に近付くと、しっかりとカギをかける。
もう1個、カギをつけようか…と、思っていると、
「あとで、私の方からも、注意しておくわ」
いきなり背後で声がした。
(しまった!鍵をまだかけてなかったか!)
ギョッとして振り返ると、そこには大家さんが、心配そうに
こちらをうかがうようにして、立っていた。
「ここの人たちはね…みんな事情をかかえている人達で…
ちょっと変わってるけど、みんないい人たちなのよ」
心配そうに、待子に声をかけた。
「だけど…」と、待子は先ほど侵入された、窓を振り返る。
それでもやはり、何もしていなくても、こうして入って
来られるのでは…安心して過ごせない…と思う。
「心配なら、2重のカギにすればいいわ」
相談するまでもなく、待子の気持ちを読んだのか、大家さんは
静かにそう言った。
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