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第5章  いざ!出陣!

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  荷物は少ないとはいえ、それでもダンボール2箱ではおさまらず、
3箱になっている。ほかには衣装ケースもあり、一度に運ぶには
厳しい重さだ。
「荷物は、お部屋に運んで置きましたからね」
トランクから、荷物を出すのを手伝いながら、大家さんはそう言った。

ダンボールの他にも、スーツケースが1つと、ボストンバッグと
トートバッグが1つ。
「なんだ、全部持ってきたの?」
淑子が言うけれど、大家さんはそれは聞こえていないのか、
「あら、これだけ?」と驚きの声を上げる。
不満そうな顏の淑子だったが、それを聞いて、あわてて取り繕うように、
「ええ」と少し顏をこわばらせたまま言うと…
「あの…近くに、量販店か、スーパーは、ありませんか?」と聞く。
さすがに、リサイクルショップとは、言い出せなかったようだ。
これでも気を使ったのか、単に見栄を張ったのか…
両方かもしれないが。
「それなら後で、地図を書くわね」
いかにも人の好さそうな顔をすると…大家さんは「よいしょ」と
ダンボールに手をかけた。
「あ、いいです、大丈夫ですから!」
あわてて父貴文は、ダンボールを奪うように、受け取ると、
「申し訳ないんですけど…掃除機を貸してもらえませんか?」
人好きのしそうな笑顔で、大家さんに言った。

 とりあえず、玄関まで荷物を運ぼうと、3人はがんばるけれど、
1往復した辺りで、貴文は腰をさすって、立ちすくむ。
「しまった…荷物を下ろす間だけでも、車を玄関の近くに
 停めさせてもらえばよかったな!」
今さらのようにつぶやいた。
「ホント、今更よね」
すかさず、わざとため息をつくと、淑子は聞こえるような声で、
貴文に向かって
「ホント、しっかりしてよね」と、口をとがらせた。


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