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第4章  引っ越し前奏曲

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「あっちでまた、一緒にお買い物しようね!」
 思わず約束をする待子だ…
かくいう杏子にとっても、いくら仲良くても、母親よりも友達と一緒に
買い物する方が、楽しいらしく…
「待子なら、いくらでもこうしていられるわ!
 ママったら、私の物を買う時も、自分のもの、選ぶみたいに
 迷うから…時間がかかって仕方がないのよ」と苦笑する。

次から次へと、揃える物が出て来る…
「ねぇ、お布団とか、どうした?」
さり気ない…待子が聞くと、杏子は「うん」とうなづくと、
「うん!知り合いの家具屋さんで、配達に来てもらうことにした」
サラッと言ってのけた。
「なんせ…
机とベッドと棚をまとめて買ったから、全部まとめて、配達して
もらうんだ」
ニコリとしながら言うので…「いいなぁ」とため息つく。
「あの部屋…ベッドは置きにくいもんな」
「あら!ベッドの下に、物入とか置けるのに…」
意外そうにする杏子だ。
まだまだ杏子は、うちの母さんのこと、わかっていないなぁ~と、
待子は思う。
たとえ机1つにしても、買うに当たっては…淑子のお眼鏡に
かなわないと、
「なに、それ!全然ダメじゃない」
すぐにストップがかかるのだ・
するとはぁ~とため息をつくと、
「うちの母さんも、杏子のママくらい、自由にさせてくれたらいいのに…」とボヤくと、
「今日、買ってきたものも、きっと…文句言うだろうなぁ」
待子は思わず、ため息が出てしまう…
「それだけ、心配されてるんでしょ?」
とりなすように、杏子が言うけれど…
「ううん、うちのはそんなんじゃない」
ピシリと言って、ケーキを一口ほうばると、フォークでブン!と
杏子に向かって振ってみせた。

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