桜ハウスへいらっしゃい!

daisysacky

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第2章  こんなはずじゃなかったアパート探し

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  すると一気に、待子の全身の力が抜けて、頭の中が真っ白になった。
「お母さん…」とつぶやくと、淑子はそれでもちょっと考えたようで、
ヒョウ柄のフジヨシさんを振り返ると、
「ところで…参考までに、ここのお家賃は、おいくらかしら?」と聞く。
それまで待子と淑子のやり取りを、ぼーっとした顔で、見ていたフジヨシさん。
「えっ?」
不意をつかれて、まだぼんやりとした顏をしたまま、
「ホラ…家賃よ、家賃!」
幾分イライラした声で言うと、フジヨシさんにつかみかかりそうになる。
 母淑子のあまりの形相に、ヒョウ柄のフジヨシさんは、一瞬
真顔になった。
「まぁ、ここは…結構駅から近くて、便利な場所だから…
 お値段は少々はるんです」
中々値段を明かそうとはしない…
「そんな御託はいいから」
 じれったそうにして、淑子は不動産屋をにらみつけると…
彼女はチラリと淑子を見つめる。
半ば哀れむような、怯えも半分混じった顏で…
「土地もそこそこするので、これでもお安いと思うのです」
母の見幕に恐れをなして、中々言おうとしない…
「いいから!」
再びつかみかかろうとすると、その手を振りほどこうとして、ようやく
「6万1千円」
小声でささやいた。
「えっ?6万?」
甲高い声で叫ぶと、淑子の手がパッと離れた。
「6万もするの?こんな部屋が?」
辺りをはばからぬ声で、聞き返すので、ヒョウ柄の女は、スルリと
すり抜けると、
「そうです」
ようやくヒョウ柄の女は、うなづいた。



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