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エピローグ

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「うわぁ、確かに…何だか雰囲気がある…」
 湖の傍らには、赤い社が立っている。
運転手の言う通り…竜神がまつられているのだろうか?
 しばらくじぃっとたたずんで見つめていると…
「お嬢さん、そんな所にいると…
 魔物にさらわれるよ」
 突然、男の声がした。

「えっ」
 彼女はビクツと身を縮めると、湖の側に白い仮面をつけた
男が立っている。
「あなたは?」
彼女はこわごわと男を見ると、その男はまるで呪術師のような
奇妙な服を着ていて、杖をついて立っている。
豊かな髪なのだが、シルバーに近いグレーの髪を、組みひものような
もので束ねている。
「私は…この湖の番人だ」
そう言うと、クルリと彼女に背を向ける。
「ここは…若い女の子が来るような所じゃない。
 早く帰りなさい」
ボソリとひと言言うと、すぅっと社の向こうに消えた。

 あの人は、だれ?
呆気に取られて、彼女はその男を探すけれど、
もうどこにもその姿は、見つけられなかった。


「あら、あなた、また来たの?」
 湖のほとりに立つ屋敷に、珍しく訪問者が訪れた。
「こんな年寄りの所に来ないで…
 彼氏とデートでもすればいいのに」
 その女性は、剪定バサミを握ったまま、昔馴染みの女に
微笑みかける。
「武雄さん…まだ、帰って来ないんですか?」
珠紀が聞くと、
「そうねぇ~姿は見ないけどね、毎月あそこのお墓に、
 バラの花が手向けられているのよ」
その年配の女性は、若い女性に向かって微笑む。
「きっと坊ちゃんは…どこかで見守ってくれているんだと
 思いますよ。
 あなたのことも、きっとね!」
そう言うと、彼女の背中をそっと押す。
「さぁ、こんな所で立ち話をしていないで…
 お茶にでもしましょう」
にこやかに微笑みながら…湖の方を、チラリと振り返った。

  おしまい…

 1年間ありがとうございました。
次回作がまだできていないので、
明日は番外編を書きたいと思います。
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