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第15章 ラストダンスはあなたと…
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「ここには、よく?」
山内さんをのぞき見ると、彼女は「えっ」と言葉を詰まらせると
「いえ…最近は、まったく…」
曖昧に言葉を濁した。
「ここにいたのは、ほんの数か月…
それもまだ、皆さんが元気だった頃だけです」
そう言うと、大きな掃き出し窓のカーテンを開ける。
目の前にはくっきりと、あの池が広がっていた。
「私だってね、どうにかしてあげたかったんですよ」
まるで自分が責められている、と感じているかのように、彼女は
顔をゆがめる。
今度は、ふざけているわけではなく、本当に心から、
自分たちの主には、どうやったら伝わるのだろう…と
頭を悩ませているのだ。
使用人にさえ、武雄は心を開かない…
どうしたら、心を開いてくれるのだろう、とひそかに考えて
いたのだった。
そうして、簡素だけれど、清潔に整えられた家の中をのぞき、
自分も汚さないように、大切に使わねば…と思う。
さらには、こんなきれいな家を使うのが、もったない…と思っていた。
せめてその代わり、素敵な思い出を作ろう…
そんな風に、自分に言い聞かせる。
結局は、客間を使用することにして、部屋に入ると…
何だか心がホッコリするのを感じた。
きっとここに、彼が訪れたことがある…
そう思うと、何だかすべてが、はずんで見える。
花が好きだった、彼の母親の影響なのか、ベッドカバーにも、
美しい花の刺繍が、施されている。
「どうぞ、ごゆっくり」
そう言うと、山内さんは部屋を出て行った。
ホッとして、自分の荷物をベッドサイドの小さな机に乗せると、
ベッドに体を投げ出す。
ふんわりとした布団に体を沈めると、軽く目を閉じた。
山内さんをのぞき見ると、彼女は「えっ」と言葉を詰まらせると
「いえ…最近は、まったく…」
曖昧に言葉を濁した。
「ここにいたのは、ほんの数か月…
それもまだ、皆さんが元気だった頃だけです」
そう言うと、大きな掃き出し窓のカーテンを開ける。
目の前にはくっきりと、あの池が広がっていた。
「私だってね、どうにかしてあげたかったんですよ」
まるで自分が責められている、と感じているかのように、彼女は
顔をゆがめる。
今度は、ふざけているわけではなく、本当に心から、
自分たちの主には、どうやったら伝わるのだろう…と
頭を悩ませているのだ。
使用人にさえ、武雄は心を開かない…
どうしたら、心を開いてくれるのだろう、とひそかに考えて
いたのだった。
そうして、簡素だけれど、清潔に整えられた家の中をのぞき、
自分も汚さないように、大切に使わねば…と思う。
さらには、こんなきれいな家を使うのが、もったない…と思っていた。
せめてその代わり、素敵な思い出を作ろう…
そんな風に、自分に言い聞かせる。
結局は、客間を使用することにして、部屋に入ると…
何だか心がホッコリするのを感じた。
きっとここに、彼が訪れたことがある…
そう思うと、何だかすべてが、はずんで見える。
花が好きだった、彼の母親の影響なのか、ベッドカバーにも、
美しい花の刺繍が、施されている。
「どうぞ、ごゆっくり」
そう言うと、山内さんは部屋を出て行った。
ホッとして、自分の荷物をベッドサイドの小さな机に乗せると、
ベッドに体を投げ出す。
ふんわりとした布団に体を沈めると、軽く目を閉じた。
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