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第15章  ラストダンスはあなたと…

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  てっきり自分は、どこかにまた監禁されるのだ…
と珠紀が思い込んでいたのだが、そういう怪しい空気は全く
感じられなかった。
なぜならば、自分は目隠しこそされてはいるけれど、手も足も拘束
されていない。
さらに珠紀がその気になれば、逃げることも可能に思われた。
(とにかく冷静になって、状況を観察しよう)
珠紀はそう決心する。
視覚は奪われてはいるけど、耳と体のささいな振動を頼りに、
何とかどこへ向かっているのか、図ろうとしていた。

 今、お屋敷の前の道路から、砂利道を通って外へ出ようとする。
というのは、体の揺れと音だけで、自分がどういう状態か、と把握することが
出来たのだ。
(落ち着くんだ)
珠紀は小さな声で、つぶやいた。
さらには門を抜けるようとしているのは、珠紀にも何となくわかった。
(一体、どこへ行くのだろう?)
何とか頭に思い浮かべようとするけれど、それは作戦ミスだった、と
すぐに思い知らされた。
 なぜなら珠紀を乗せた車は、デタラメに動いているようにしか、
思えないくらい、右へ左へ…と、ウネウネと進み。
角を曲がったかと思うと、急にグルンと周り…
明らかに、こちらの意図を見透かしたように、
ジグザグと進んでいる…
(一体、どういうこと?)
もしも この目隠しが、なかったら…そう思ったけれど、
まるでこちらに、目的地の行き方を教えまい…とでもしているのか、
ただデタラメに進んでいるとしか思えない。
わざとグルリと回ったり、
左へ行ったり、右に行ったり、
一体どのくらい遠回りをしているのかは、わからないけれど…
目の前がわからず、やたらと曲がったりしているうちに、
すっかり気分が悪くなり、そろそろ下ろして…と思っていたら、
ようやく車が、突然ピタリと止まった。
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