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第15章  ラストダンスはあなたと…

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  何だか気まずい空気のまま、珠紀は彼と別れた。
否応なく時がたち、自室でボーっとしている珠紀の所に、
「あら、ここにいた」
またもひょこっと山内さんが現れた。

「何をしているんですか?」
 窓際の椅子に座り、外を眺める珠紀に声をかける。
せかせかと忙しそうに近付くと、
「さぁ、この服に着替えて」
ドサッといきなり、布の塊を手渡された。
「なに?」
かなりズシリと重たい。
上等な絹の手触りだ。
「えっ?」
 これから何が始まるというのだ?
戸惑い気味に、彼女を見上げると
「いいから、早く」
珠紀の様子をかまうことなく、山内さんはドレスを広げた。
 確かパーティーの準備で、忙しいと聞く。
もしかして、仮面舞踏会でもするつもりか?
奇妙に思ったけれども、珠紀は素直に受け取った。

 これからお別れパーティーを開いてくれるという。
別にしなくてもいいのに…と思うけれども、
「いいえ、それはダメです」
なぜだか強い口調で、山内さんが言い返す。
「だって、そんな大げさにしなくても」と言っても、
「キチンとしないとダメです」
絶対に譲ろうとはしなかった。
なんでそこまで意固地なんだ…と思うけれども、
まぁ、いいかぁ~と、自分自身もこれといって不都合はないので、
あっさりと引き下がる。
どうせ2人きりの食事会か何かだろう、と思っていただけに、
ちょっと意外な気がした。
(これから何が、始まるのだろう…)
珠紀はふいに、ワクワクとしてきた。
 手渡されたドレスは、ゴールドがかった黄色いドレスで、
肩が大胆にむき出しになっている。
(何だかずいぶん派手だなぁ)
自分の二の腕を気にしながら、
こんなことなら、ダイエットをすればよかった…などと、
やや浮かれた気分で珠紀はそう思った。
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