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第14章 混線

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  だがあれほど珠紀が言っても、彼の方はまったく、信じている
様子はなかった。
せっかくこうと決めたというのに…
どうしてわかってくれないのだろう?
それが珠紀は、残念でしかたない。
「わかりました!じゃあ必ず戻ってくるように…
 私の代わりになるものを、置いて行きます」
そう口にすると、自分の気持ちがハッキリするようで…
思いのほか、しっかりと見えてきた。

 どうするつもりなんだ?
そもそも全く本気にはしていない武雄は、ヘラヘラとごまかし笑いを
浮かべて、珠紀を見ている。
こんなことを、している場合じゃない。
さぁ、これからどうする…珠紀に対して、面白がっているらしい。
 悔しい…そう珠紀は思う。
いつものように、曖昧な顔を作り、すぐに向き直る。
何だかくやしくて、情けないのだが…
「無理しなくて、いいんだよ」
むしろあきらめたように、ひどく疲れた顔をする。
「そうだ!」
いきなり明るい声を上げると
「君にいい知らせがある」
ニヤリと笑う。いい知らせ…と言う割には、この人が出ると
思わず見入ってしまう。
(なんなの?)
そんなこと…あるわけがない!
珠紀が平然と座っていると
「よかったな!」
いきなり彼が言った。
「キミの大切な友達が…
 君を探して、うろついているらしいぞ」
「えっ」
それて、もしかしたら…玲?
どうして、わかったの?
珠紀の頭の中で、たくさんの疑問符が、飛び交っていた。

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